■独占による栄光から、やがて訪れる凋落の時代へ
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、連邦系のジェガンやνガンダムといった機体を開発する一方、同時にギラ・ドーガやサザビーのようなネオ・ジオンの機体開発も行っていたアナハイム・エレクトロニクス社。
モビルスーツの開発・生産において、ほぼ独占状態が続いていたが、そんなアナハイムのやり方にもやがてほころびが出始める。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の時代になり反連邦組織「マフティー」は、アナハイム社に「Ξ(クスィー )ガンダム」の開発を秘密裏に依頼。
だがマフティーが極秘で依頼したはずのクスィーガンダムと類似点の多い機体「ペーネロペー」が連邦軍のほうに卸されていた。
大気圏内でのモビルスーツの単独飛行を可能にするミノフスキー・フライトの技術を搭載した新型機で、クスィーガンダムの飛行テストにはハサウェイ・ノアが自ら参加。それだけに同等の性能を持つ機体が連邦軍にも流れている事実を知ったハサウェイ・ノアは、「アナハイムはやりやがったってことだ……」とショックを受けている。まさに「死の商人」たるアナハイム社を象徴するシーンといえるだろう。
実はクスィーの姉妹機であるペーネロペーは「オデュッセウスガンダム」に「フィックスド・フライトユニット」を装備させた機体であり、この2体はフライトユニットの外装型と内臓型という異なるコンセプトで開発されていた。
書籍『モビルスーツ全集 19 宇宙世紀のガンダムBOOK2』(双葉社)によれば、アナハイム社がこの異なるコンセプトの2体のどちらが優れているかをひそかに実験していたと見えなくもない、と記述されている。
敵対する組織同士を実験台のように扱うのは少々身勝手にも見え、アナハイム社の姿勢を象徴するような出来事にも感じられた。
だが、アナハイム・エレクトロニクス一社の独占体制はやがて技術の停滞を招き、兵器自体の需要が減少したことも相まって、アナハイム一強体制にほころびが出始める。
そして宇宙世紀0100年代は、モビルスーツの小型化が求められていくことに。時流を読んで顧客のニーズに応えることを忘れたアナハイムは、次第に「サナリィ」に主導権を奪われ、ここから衰退の一途をたどるのである。
今回は宇宙世紀を代表する巨大軍需複合企業「アナハイム・エレクトロニクス社」の闇にも見える出来事を振り返ってみた。
あらためて象徴的な出来事を列挙してみると、一時は栄華を極めたアナハイム社が、傲慢な姿勢を見せた結果きっちり衰退していく様子は、ある意味リアルである。こういった一企業の栄枯盛衰がきっちり描写されるあたりも、ガンダム作品ならではの魅力といえるだろう。
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