■軽快なギャグアニメと思いきや…!? 第3位は『霧尾ファンクラブ』

 先にネタバレしておくと、ここから第1位まではぜんぶラブストーリーです。ただ、それぞれの作品で切り取り方が三者三様。だからほんと、サウナ、水風呂、チルみたいな3軸でそれぞれ楽しめるんですが、第3位に挙げたいのが『霧尾ファンクラブ』です

 ざっくり概要を説明すると、三好藍美と染谷波というふたりの女子高生が、クラスの中でもあんまり目立たない男の子・霧尾くんに恋をしている。で、その気持ちが溢れた結果、ただただ奇行に走るんです。イカれてる。ギャグテイストの作品で、1話から3話まではもうゲラゲラ笑えるくらいのギャグ。ずっとイカれたことを言いまくっているんですが、後半から脚本にシリアスが紛れ込んでくるのです。温度差で風邪ひくわ。

 実は霧尾くん、過去に好きだった人にまつわる重大なトラウマを抱えていて、これが結構重い。もともと影のあるキャラクターではあるんですが、素直に恋愛と向き合うとか、そもそもそんなことを考えられないくらいのやつ。

 で、ネタバレしたって面白い作品だと思うので言っちゃいますが、波ちゃんは霧尾くんのことが好きというより、藍美と一緒に霧尾くんを推している時間が好きだったことに後々気づくんですね。対する藍美ちゃんは、過去に霧尾くんとひと絡みあったことで好きになった背景が描かれる。

 そしてそのふたりの前に、霧尾くんと仲良くする村岡皐月という女の子が立ちはだかるんですが、実は皐月が好きなのは霧尾じゃなくて、彼と一緒の仲良しグループにいる桃瀬隼斗っていう。もう人間関係が大渋滞なんですよ。

 そうやってみんなが本心を隠したまま人間関係を築いていくので、意外な新事実がポロポロ見つかって「え、あ、マジか……」の連続。コメディ一辺倒だと思って見ているとかなり面食らうと思います。

 ちなみに、作中でただただヤバいのは、田代星羅というキャラくらい。この子は藍美と波による「霧尾ファンクラブ」そのもののファンで、推しを崇めるふたりを崇める女の子です。俺は何を言っているんだ。でも本当にそうなんだから仕方ない。芯からヤバイのはこの子だけですね。

 そんなこんなで、波は藍美への気持ちに気づき始めるけど、恋の邪魔をするわけにはいかない。でもやっぱり、藍美との関係性は彼女にとってかけがえのない時間なんですね。いやー、ひじょーに趣深い。なんとも切ない作品です。

 マジで1話、2話からは想像できない作風ですし、なにより面白ぇ女たちのセリフ回しが良すぎる。青春群像劇として共感しながら楽しめるし、いち物語として伏線の張り方もずっと美しい。ギャグでゲラゲラ笑って、最後にしんみり泣かされる一本でした。

 

 

【プロフィール】
田口 尚平(たぐち しょうへい)
2015年にテレビ東京にアナウンサーとして入社後、スポーツ中継やバラエティ番組を担当。2020年にテレビ東京を退職後、早稲田大学院でMBAを取得し「オタクを極める」という目標を掲げて「Gamchew」を創業。ゲーム実況をはじめ、エンタメ領域の仕事を続けながら、企業のビジネス支援活動なども行っている。元TBSアナウンサー・宇内梨沙さんとのポッドキャスト番組『うない、たぐちの「オタクというには限界です。」』も好評放送中。

 

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