■少女の喪失と怒りを伝える名演技

 登場人物の感情を伝える声優陣の演技も大きな反響を呼んだ。本作にはモンゴル出身の現役力士・玉鷲関や玉正鳳関も出演して物語のリアリティを高めているが、それ以上に反響が大きかったのが主人公・シタラを演じた関根明良さんの演技だ。

 第1話から第2話の序盤までは、シタラの喜怒哀楽をはっきり演じ分け、知識を得る楽しさやムハンマドへの恋心が伝わる、明るく弾むような声色だった。ところが第2話でファーティマを失ってからは、言葉が出てこない間や弱々しい声で、心が現実に追いついていない状態を鮮明に表現。「2話ずっと悲しくて泣きっぱなし」「辛さが映像と声優さんの演技で際立ってる」という反応が相次いだ。

 そして第3話では、モンゴル軍の通訳・シラが、自身の出世のために教養のあるシタラをトルイに紹介しようとする。さらにトルイが『原論』を奪ったのは、妻への遠征土産にするためだったことも明かされた。

 ファーティマが命を落とした理由が、相手にとっては「その程度のもの」だったことを知り、シタラは怒りをあらわにする。しかし、ムハンマドから教えられた勉強の意味を思い出し、突然明るい笑顔を浮かべて「偉くなって毎日おいしいものが食べたいわ」と語り始めるのだ。

 言葉だけを聞けば、シタラが生きる希望を取り戻したようにも思えるだろう。しかし、その声と表情に喜びはなく、シラを利用して敵の内部へ入り込もうとする冷静さと怒りが含まれていたのである。

 SNSでも「隠した怒りが混ざった声だな」「嘘の愛嬌にぞくっとした」「顔笑ってるのに目も声も笑ってない…」といった反応が相次いだ。少女らしい明るい演技から、喪失感、胸に秘めた復讐心までを繊細かつ器用に演じ分けたシタラ役・関根さんの名演に、多くの視聴者が引き込まれたようだ。

 

 第3話の最後では、奪われた『原論』を持つトルイの妻・ソルコクタニと対面し、モンゴル王族の世界へ足を踏み入れたシタラ。奪われた『原論』をいかに取り戻し、帝国にどのように立ち向かっていくのだろうか。今期屈指の注目作が描く物語の行方を、最後まで見届けたい。

 

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