テレビアニメ『機動戦士ガンダム』から続く「宇宙世紀」という同一の時間軸で描かれるシリーズにおいて、時代が進むとともに技術の進歩が描かれているのも魅力のひとつ。
時には「技術革新」と呼べるような大きな発見や発明もあり、モビルスーツ戦においても劇的な変化をもたらしている。そして、それらを開発した技術者たちの存在もまた物語に彩りを添えていた。
とくにモビルスーツ開発の面で多大な影響を及ぼした新技術は、視聴者にとって興味深い部分であり、実は意外な人物がその開発に携わっていたこともある。そこで今回は、宇宙世紀のガンダム史に残るほどの偉大な功績を残した技術者にスポットを当ててみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■ガンダムの強化だけでなく、その技術が及ぼした凄まじい影響力
『機動戦士ガンダム』の物語後半、ニュータイプとして覚醒したアムロ・レイの超人的な反応速度にガンダムの性能が追いつかなくなった際、「マグネット・コーティング」によるパワーアップが採用された。
これはモビルスーツの関節部分などに磁気コーティングを施すことで、機体の可動速度を向上させる新技術。「電磁工学の新鋭」と呼ばれる地球連邦の技術者モスク・ハン博士が開発したもので、これを採用したガンダムの反応速度は劇的に向上。パイロットのアムロが、その効果に感動する様子も劇中で描かれていた。
そんなガンダムをパワーアップさせたマグネット・コーティングだが、実はその技術の素晴らしさはそれだけではなかった。
『機動戦士Zガンダム』の時代になると、さまざまな可変機が登場するが、その実用化にもマグネット・コーティングの技術が貢献。『総解説ガンダム事典』(講談社)によれば、可変機のスムーズな変形を実現することに寄与したほか、高速変形を可能にしたのもマグネット・コーティングによるものだと説明されていた。
また、それ以降マグネット・コーティングによる駆動部のレスポンス向上の恩恵は普及し、『機動戦士ガンダムUC』の小説ではユニコーンガンダムにもマグネット・コーティングが採用されたことが記されている。
このようにモスク・ハン博士が生み出した新技術は時代を超えて普及し、まさに「天才」と呼ぶにふさわしい傑物である。
ちなみにハン博士は、アムロがガンダムに乗らなかったパラレルワールドを描いたアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』にも登場。ガンダムにマグネット・コーティングを試すことができなかった世界線の影響なのか、戦後は民間企業の技術者となった姿が描かれていた。
■実はエンジニアとして超一流だったカミーユの父の功績
『機動戦士Zガンダム』の主人公、カミーユ・ビダンの実父であるフランクリン・ビダンは地球連邦軍の技術士官として登場。仕事にかまけて家庭を顧みず、あげく愛人まで作っていた人物である。
ガンダムMk-IIの開発に携わったことで知られるフランクリン・ビダンだが、『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』(KADOKAWA)によれば、第二世代モビルスーツの礎を築いた立役者ともいわれている。そして第二世代モビルスーツを代表する技術として「ムーバブルフレーム」があり、そこにフランクリンが与えた影響は大きいだろう。
これは、その後のモビルスーツの基本構造となるほどの画期的な技術であり、それを手がけたフランクリンは相当優秀な技術者であったことがうかがえる。『Zガンダム』の劇中でガンダムMk-IIが奪われた際、フランクリンは「あんな物くれてやっても構わないでしょう」と言っていたが、粗のある開発済みの機体にはすでに興味がなく、もしかすると新たな開発に着手していたのかもしれない。
また、富野由悠季氏が書いた小説版『Zガンダム』では、Zガンダムに搭載された「バイオセンサー」の技術もフランクリンの遺産とされていた。
アムロの父であるテム・レイもガンダムを作った優秀な技術者だったが、カミーユの父であるフランクリンもそれに負けないくらいモビルスーツ開発に大きな革新をもたらした技術者だったのである。


