近年、急激に作品数を増やし、大きなジャンルとして確立してきた感のある「悪役令嬢アニメ」。主に女性主人公が異世界や乙女ゲームの悪役令嬢に転生し、バッドエンドにつながりそうな破滅フラグを回避するために奮闘したり、イケメン王子と恋に落ちたりするストーリーが定番だった。
しかし近年では、この鉄板の流れを大胆に崩した異色の作品も多く、おじさんが悪役令嬢に転生したり、百合ラブコメを展開したりと、いろんなバリエーションが生まれている。
そこで本稿では、これまでの“お約束”を無視して、予想外の展開や型破りな内容で話題を集めた「悪役令嬢アニメ」を3作品紹介していこう。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■中間管理職のオヤジが15歳のお嬢様に!?『悪役令嬢転生おじさん』
まず紹介するのは、上山道郎氏の漫画を原作とする『悪役令嬢転生おじさん』。本作は52歳のオタク公務員・屯田林憲三郎が、乙女ゲーム『マジカル学園ラブ&ビースト』の悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌに転生するという異色のストーリーだ。
憲三郎は善良な社会人として長年培ってきた常識や気配りを持ち、主人公をいじめる立場で描かれることが多い悪役令嬢でありながら、誰に対しても礼儀正しく接してしまう。その結果、周囲からの評価はどんどん上がり、ゲームの攻略対象である王子や生徒会メンバーたちだけでなく、ヒロインからも慕われていくという展開になる。
悪役令嬢モノの定番だった「恋愛」や「陰謀」よりも、社会人にとって大切なコミュニケーションスキルに重点が置かれている点は非常に独特だ。また憲三郎の父親としての視点や豊富な人生経験が随所に活かされ、学園の若者たちの成長を温かく見守る姿勢にも共感の声が多い。
当時のSNSでは「親目線で見られる悪役令嬢作品は新鮮」、「おじさんの人生経験が強すぎる」といった反応が見られ、15歳の可憐な少女の姿から発せられる憲三郎のおやじギャグも新鮮味があって好評だった。
悪役令嬢という人気ジャンルの王道要素を押さえながらも、ありがちな「ざまぁ展開」や「チート無双」は皆無。「転生前の素の人柄が脚光を浴びる」という独特の展開は、従来の異世界系の作品とは一線を画す面白さがある。


