テレビアニメ『機動戦士ガンダム』は、今から47年も前に放送が始まった作品ながら、いまだに新作シリーズが作られ、ゲームやコミックス、ガンプラなどの派生作品も生まれ続けている。
その原点である初代『ガンダム』は、まさに伝説的な作品となったが、当時のアニメの制作現場は慢性的に人手不足だった。そのためか、時には作画が安定しない回や作画ミスが疑われるような不可解な描写も存在したのである。
しかも物語終盤に差し掛かった頃にキャラクターデザインと作画監督を務める安彦良和氏が入院のために離脱。あまりにもひっ迫した状況に、富野由悠季監督自らが原画を手がけたという逸話もあるほどだ。
そこで今回は、ファンの間で語り草になっているアニメ『機動戦士ガンダム』の不思議なシーンや描写をピックアップ。あらためて、その内容を振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■単なる作画ミス? よくよく考えると意味深にも見えるシーン
ホワイトベースを任されることになった若きブライト・ノアは、激しい戦いが続く重圧の中で高熱を出し、倒れる場面があった。そして第24話では補給部隊を率いるマチルダ・アジャンがそのブライトの部屋を訪れ、見舞うシーンがある。
そのとき室内にはパジャマ姿のブライトがベッドにおり、隣には操舵手であるミライ・ヤシマがいた。
いつもミライは連邦軍の制服に白タイツとブーツが基本スタイルである。しかしこのブライトの部屋にいたときのミライは、なぜかフラウ・ボゥと同じように生脚だったことが疑惑を呼んだ。
もちろん真っ先に、単純にタイツの色を塗り忘れた可能性が考えられる。だが、よりにもよってブライトの部屋で生脚だったミライの姿から、2人の関係を深読みする人まで現れた。
この2人がのちに結婚するからといって、さすがに飛躍しすぎな見方だと感じる。だが、その妄想を踏まえてこのシーンを振り返ると、入室後に2人の様子を見たマチルダがかけた「思ったより元気そうね」という言葉まで、別の意味に聞こえてくるから不思議だ。
とはいえ、このシーンの直後からブライトとミライのやりとりに変化が生じるならまだしも、ここから新たな乗組員スレッガー・ロウに彼女が心惹かれる展開が描かれた。それを考えると、やはりタイツの塗り忘れのミスと考えたほうが自然だろう。
ちなみに同じ24話の中で、ブライトの部屋にいるミライが再び登場するが、そのときはしっかり白いタイツを着用していた。
■「たった一度きりの謎描写」ガンダムが見せた一度きりの機能
第18話では、『ガンダム』シリーズを通して見ても、珍しいシーンがあった。それは、アムロ・レイの乗るガンダムが、突如しゃべりだした場面だ。
ジオン軍のマ・クベとキシリア・ザビが乗るモビルアーマー(MA)「アッザム」と対峙した際、放熱磁場を放つワイヤー内に捕らわれ、ガンダムの表面温度は4000℃にまで上昇してしまう。
その時、ガンダムのコクピット内に「パイロット及び回路を保護するため、全エネルギーの98%を放出中」と、突如ガンダムがしゃべり出すのだ。
その後の『ガンダム』シリーズを通してみても、ガンダム自体が音声を発するシーンは見受けられず、おそらく細かな設定が定まっていなかった序盤ゆえの貴重な描写だと思われる。
結局、アムロの瞬時の判断で勝利をおさめたが、もしかするとガンダムが音声で警告しなければならないほど、限界まで追い詰められたレアなケースだった……という見方もできるのかもしれない。


