■「撃たれる前に撃て!」非情な戦いの掟を教えた熱き男「大盗賊アンタレス」

 最後に、惑星タイタンを拠点とする大盗賊アンタレスを紹介したい。

 アンタレスは漫画では物語序盤に登場し、当初は列車を襲い、乗客から金品を奪う無法者として描かれている。しかしその素顔は生身の体に強い誇りを持ち、多くの子どもたちを養っている心優しき“父親”としての一面を持っていた。

 会話を通して鉄郎の心意気を気に入ったアンタレスは、鉄郎が手にしたばかりの「戦士の銃(コスモドラグーン)」を撃ちやすいように整備してくれる。

 そして、「撃たれる前に撃て!! 相手が涙を流していても必要な時は心を鬼にして容赦なく撃てよ」「宇宙で生き残るにはそれが絶対の条件だぞ」と告げ、これから先の厳しい旅を生き抜くための非情な掟を鉄郎に教えるのだった。

 この教訓は鉄郎の心に深く刻まれ、その後何度も訪れる強敵との戦いにおいて、彼はためらうことなく瞬時に銃を抜くようになる。

 多くの子どもたちを守るために非情な戦いを続けてきたアンタレスの生き様が、鉄郎に戦士としての覚悟を自覚させるきっかけになったのである。

 

 松本零士さんが描いたこれらの「宇宙のカリスマ」たちの存在は、鉄郎だけでなく、作品に触れた多くの読者の心にも刻み込まれている。

 あらためて彼らの登場シーンやエピソードを読み返すと、単なるカッコ良さではなく、己の信念を貫き通す生き様そのものに魅力があることに気づかされる。

 彼らの生き様に思いを馳せながら、今一度999号の物語を読み返してみてはいかがだろうか。

 

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