松本零士さんは、数多くの伝説的なSF作品を生み出してきた。その中でも特に代表作として名高いのが、機械の体を手にするために銀河鉄道に乗って宇宙を旅する少年・星野鉄郎の冒険と成長を描いた『銀河鉄道999』である。
物語の軸となるのは鉄郎と謎の美女・メーテルの旅路だが、作中には他の松本作品で活躍するカリスマ的なキャラクターも登場している。彼らは鉄郎に大きな影響を与え、その後の彼の生き方を決定づけるような忘れがたい名言を残していた。
今回は、鉄郎の成長に影響を与えた3人の「宇宙のカリスマ」たちを紹介しよう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■鉄郎たちのピンチに駆けつけた最強の宇宙海賊「キャプテンハーロック」
キャプテンハーロックは、広大な宇宙を股にかける最強の宇宙海賊であり、松本さんの作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』の主人公である。彼は『銀河鉄道999』の漫画、アニメ、劇場版にたびたび登場し、鉄郎が絶体絶命のピンチに陥った際に颯爽と駆けつけ、幾度となくその命を救ってきた。
たとえば劇場版第1作では、惑星ヘビーメルダーの酒場で機械伯爵の仲間から集団暴行を受けていた鉄郎を救出。さらに、亡き親友・大山トチローの墓を作ってくれた鉄郎に対し、深く感謝する姿も描かれている。
さらに続編『さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-』においては、鉄郎の父親・黒騎士ファウストとの最終決戦に立ち会い、“永遠の命とは何か”を鉄郎に説いた。
またハーロックは、原作漫画の「時間城の海賊」のエピソードにも登場している。そのときは終始マントで全身を覆い隠し、素顔を鉄郎に見せることはなかった。
それでも時間城に単身乗り込もうとする鉄郎の勇気と行動力を評価し、さりげない助言やサポートをしている。そんなハーロックの姿に、鉄郎は「男の中の男だ!!」と尊敬の念を抱き、自分を一人前の戦士と認めてくれたことに感激するのである。
そもそもハーロックは、堕落した地球を見限り、生身の体で大宇宙に己の旗を掲げた孤高の海賊だ。多くの機械人たちと対峙する姿勢は鉄郎の生き方に通ずるものがあり、彼がハーロックを尊敬するのは必然だったともいえる。
己の信念のために戦うハーロックは、鉄郎にとって理想の父親像そのものだったのかもしれない。
■過酷な宿命を背負った哀しくも美しい女海賊「エメラルダス」
エメラルダスは広大な宇宙を旅し、自由を愛する孤高の女海賊である。顔に刻まれた傷跡とマントが特徴的な彼女は、メーテルとは古くからのライバルであり、互いに理解し合う親友のような関係でもあった。
漫画では「海賊船クイーン・エメラルダス」の回に登場するが、彼女はすでに重い病を患っていた。身動きの取れないエメラルダスに仕えるアンドロイドが暴走し、メーテルの体を手に入れようとするエピソードだ。しかし、最後はエメラルダス本人が鉄郎たちを助け、「また宇宙のどこかでおあいしましょう」という言葉を残して、静かに去って行くのだ。
エメラルダスはテレビ版や劇場版にも何度か登場している。劇場版第1作では、機械伯爵を倒すべく時間城の場所を探していた鉄郎に対し、「トレーダー分岐点に時間城が現れる」ことを教えるなど、重要な助言者の役割を担った。
さらに『さよなら銀河鉄道999』では、鉄郎とともに列車に乗るべきか迷うメーテルに対し、「あなたも私も、永遠に終わることのない旅を続ける宿命の星の下に生まれた女」と語りかけ、メーテルが鉄郎との別れを決意するきっかけを作っている。
エメラルダスはメーテルと同じく過酷な宿命を背負う者であり、鉄郎にとってはピンチを救ってくれる貴重な恩人だ。美しさと悲哀を併せ持つ彼女の存在は、物語に深みを与える魅力に満ちあふれたカリスマといえるだろう。


