岸本斉史氏が描いた『NARUTO-ナルト-』の世界には、“血継限界”や“尾獣の力”といった、規格外の能力を持つ忍者たちが数多く登場する。そんななか、派手な術は持たず、類いまれなる頭脳を最大の武器に最前線で活躍し続けた異色の忍がいる。それが木ノ葉隠れの里の忍、奈良シカマルだ。
作中で明かされたIQ(知能指数)は200以上。敵の行動を何手も先読みし、限られた戦力を最適に配置することで、ときには格上の強者すら完璧な戦術で封じ込めてしまう。
今回は、幾度も絶望的な戦況を動かしてきたシカマルの、天才軍師ぶりが光った名場面を振り返りたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■若くして託された初陣…「サスケ奪還任務」で見せた指揮官の素質
主人公・うずまきナルトたちが挑んだ中忍選抜試験において、実は唯一合格を果たしたのがシカマルだった。そして、中忍となった彼が初めて部隊の指揮を任されたのが、「うちはサスケ奪還任務」である。
当時の木ノ葉隠れの里は、“木ノ葉崩し”により三代目火影・猿飛ヒルゼンを失い、多くの忍が負傷していた。里の被害は大きく、上忍の大半は里の復旧や警備対応に追われており、任務に十分な戦力を割ける状況ではなかった。
そのような状況下で、シカマルはサスケ奪還に必要な戦力として、ナルト、日向ネジ、犬塚キバ、秋道チョウジを招集、五人一組(ファイブマンセル)の小隊を編成した。そして、各自の能力を最大限活かすため、自ら考案したキバを先頭とする1列縦隊で追跡を開始するのである。
しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、大蛇丸から呪印を与えられた精鋭集団「音の四人衆」。実力差を考えれば極めて厳しい相手だった。それでもシカマルは、敵がサスケを安全に運ぶために1人ずつ足止め役を残して時間を稼いでいることを即座に見抜くなど、刻一刻と変化する戦況のなかで冷静に全体を俯瞰し続けた。
結果としてサスケ奪還は失敗に終わり、仲間全員が重傷を負う苦い初陣となる。だが、何より彼を苦しめたのは、自分の判断で仲間を危険にさらしてしまったという事実だった。「次こそは… 完璧にこなしてみせます…!」と五代目火影・綱手の前で涙ながらに誓ったこの言葉こそ、後の天才軍師が誕生する原点だったのかもしれない。
■木ノ葉壊滅を阻止…アニメオリジナルエピソードで見せた名推理
シカマルの頭脳が、純粋な“推理力”として際立ったエピソードが、アニメオリジナルとして描かれた第197話から第201話である。
物語は、木ノ葉隠れの里に潜入していた元・陽炎の里の忍・ゲンノウによって、重要施設の設計図が盗まれたことから始まる。この緊急事態を受け、綱手はナルトら“木ノ葉11人”を招集。そして、その現場指揮を任されたのがシカマルだった。
やがて里の各所で無数の起爆札トラップが次々と発見され、事態は木ノ葉全体を巻き込む大規模な破壊工作へと発展していく。しかしシカマルは、ゲンノウが残したわずかな痕跡や、起爆装置の不自然さから冷静に状況を分析し続けた。
そして、彼が導き出した結論は衝撃的なものであった。これまでに発見された爆弾はすべて陽動。本当の狙いは木ノ葉の象徴である「火影岩」を爆破・崩壊させ、大量の土砂によって里そのものを壊滅させること……というものだった。
結果的に、ゲンノウ自身に木ノ葉を本気で壊滅させる意思はなかったことが判明する。だが、その真意へたどり着くまでに張り巡らされた複雑な罠を見抜き、木ノ葉の若き忍たちを指揮しながら最悪の事態を未然に防いだシカマルの活躍は見事であった。


