人気ファンタジー漫画『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人氏、作画:アベツカサ氏)の主要キャラクターであるフェルンは、天才的な魔法の才能と礼儀正しい態度、そして時折見せる少女らしい可憐さを併せ持つ魅力的なヒロインである。第2回人気投票では第3位にランクインするなど読者からの支持も厚く、本作を代表するキャラクターの1人だ。
しかし、そんなフェルンには「突然不機嫌になる」という意外な一面が存在する。本人にしか分からないタイミングで「むっすー」と頬を膨らませたり、シュタルクを無言でぽかぽか叩いたり……。一度こうなると師匠であるフリーレンもお手上げ状態で、嵐が去るのを待つか、彼女の要求をのむしかなくなってしまう。
ふだんは物静かで可愛らしいフェルンだが、なぜ突然不機嫌モードに入ってしまうのだろうか。今回は、フェルンが不機嫌になったシーンを振り返りながら、その行動の裏に隠された本心に迫ってみたい。
※本記事には漫画『葬送のフリーレン』の内容を含みます。
■シュタルクへの好意の裏返し? 不器用な感情の発露
フェルンは旅の仲間であり、同世代の男性であるシュタルクに特別な感情を抱いているようだ。その気持ちは、フリーレン一行に一時期同行した僧侶・ザインが「もう付き合っちゃえよ!!!」と叫ぶほどバレバレなのだが、肝心のシュタルクはその想いにまったく気づいていない。
このすれ違いが原因で、フェルンは彼の鈍感かつデリカシーのない対応に腹を立て、不機嫌になるのがお決まりのパターンになっている。
それが顕著に表れていたのが、第29話での出来事だ。冒頭からフェルンはシュタルクと大喧嘩をするのだが、その理由は、「シュタルクが自分の誕生日にプレゼントを用意していなかった」というものだった。
シュタルクが「そんなに俺のことが嫌いかよ!!」と泣きながら部屋を飛び出す描写から、フェルンは相当キツく責め立てたことがうかがえる。
だが、フェルンはただプレゼントが欲しかったわけではなかった。本心では、シュタルクと一緒に町を歩きながらプレゼントを選びたかったのだ。第26話でシュタルクの誕生日を祝ったときと同様に、2人きりの時間を大切にしたいという願いの表れだったのだろう。
その気持ちをザインに指摘されたフェルンは、自身の態度を素直に反省し、シュタルクに謝っている。一方のシュタルクも、フェルンの誕生日を忘れていたのではなく、“一緒に選びに行こう”と言い出せなかっただけであった。
この一連の出来事は、年頃の男女らしい、なんともほほ笑ましくもどかしい関係性を象徴するエピソードだろう。
■フリーレンに対する独占欲…メトーデに対しての嫉妬
戦災孤児であったフェルンは、僧侶・ハイターに引き取られ、彼の紹介で後にフリーレンに弟子入りしたという経緯がある。人生のほとんどをフリーレンとともに過ごしてきたため、彼女への想いは非常に深い。
そんなフェルンの“師匠愛”が暴走したのが、第73話のエピソードである。
一級魔法使い・メトーデとともに任務にあたることになったフェルンとフリーレン。小さくて可愛いものが大好きなメトーデはフリーレンに興味津々で、「なでなでしてもいいですか?」と大胆に接近する。
最初はその申し出を断るフリーレンだったが、メトーデが「卵を割った時に殻が入らなくなる魔法」の魔導書を交換条件として差し出すと、「好きなだけなでていいよ」とあっさり許可。なでなでどころかハグもOKと、されるがままのフリーレンに対し、フェルンは嫉妬から無言で彼女の服の袖を引っ張り始めた。
このような嫉妬心は、共同任務が終わった第76話でも描かれている。
フリーレンが「なんだかメトーデがいるとフェルンが不機嫌になるの…」とこぼした直後、フェルンはフリーレンをぎゅっと抱きしめ、メトーデへの対抗心を見せた。その姿は師弟愛というより、母親を誰かに取られたくない子どものようにも見え、彼女のフリーレンへの愛情の深さが強く感じられた。
ちなみにフェルンに嫌われてしまったメトーデは、そんな彼女の言動に動じることなく「でも私 フェルンさんのことも大好きですよ」と余裕の表情を見せている。これが大人の女性というものなのだろうか……。


