格闘漫画には、時に現実では考えられないような「オリジナル理論」が登場する。しかも多くの場合は大まじめな調子で解説されるため、子どもの頃はフィクションだと思えず、実在する理論のように錯覚することもあるほどだ。
そういった格闘漫画ならではの独自理論に触れて、「ひょっとしたら自分にできるかも」と、つい真似をした経験がある人もいるのではないだろうか。ハチャメチャかつ強引な理論でありながら、不思議と引き込まれてしまう謎の魅力と説得力があったのだ。
今回はそんな、格闘漫画に登場した「最強のロマン理論」を紹介していこう。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■強引な理屈でパワーを倍増していくウォーズマン理論(キン肉マン)
ゆでたまごによる傑作『キン肉マン』(集英社)に登場する超人の中でも、特に人気があるウォーズマン。当初はキン肉マンの敵として登場したが、戦いに敗れたことで友情や正義の心に目覚めた、誇り高き正義超人である。
本作には、ファンの間で「ゆで理論」と呼ばれているオリジナル理論が数多く登場し、中でも有名なのがウォーズマンがバッファローマンとの戦いで披露した「ウォーズマン理論」だ。
バッファローマンが1000万パワーの持ち主であるのに対し、ウォーズマンはわずか100万パワー。圧倒的な超人強度の差を前に追い詰められたウォーズマンは、戦いの中で“ある奇策”に打って出る。
それが、ウォーズマンの拳に内蔵された鉄の爪「ベア・クロー」を両手につけることで100万×2=200万パワー、そこから通常の2倍のジャンプをして200万×2=400万パワー、最後に通常の3倍の回転を加えることで400万×3=1200万パワー……と、超人強度をどんどん倍増させていく驚異の理論だ。最終的にウォーズマンの体は光り輝き、まるで光の矢のようにバッファローマンめがけて突っ込んでいた。
ちなみにこのパワー倍増の理論には続きがあり、最終的にはそこに友情パワーが加わることで1億パワーを叩き出している。さすがに強引すぎる計算式ではあるが、ノリと勢いによって納得させられてしまうのがスゴい。それに、勝つために限界突破する展開は、どのような形であれワクワクさせられるものだ。
■『刃牙』イメージの力は無限…
板垣恵介さんによる『刃牙』シリーズにも、常識では到底考えられないトンデモ理論がたびたび登場する。その中でも特に衝撃的だったのが、「イメージで関節はいくらでも増やせる」というもの。本シリーズでは、たびたびイメージを用いたトレーニング法が描かれるが、これは実際の肉体にまで影響を及ぼす驚くべき内容だった。
その理論が描かれたのは、「空手界の最終兵器(リーサルウェポン)」こと愚地克巳が、必殺技の「マッハ突き」を進化させるために修行をしていた時のこと。マッハ突きの鍵は関節から生み出される力であり、関節が増えればそれだけ威力が増す……という理屈だ。しかし、それを実現するために人間の骨格を変えることなど当然不可能である。
その時、中国武術界の頂点である郭海皇が授けたのが「加速のための関節など いくらでも増やせる」というアドバイス。イメージの力は無限であり、なりたい骨格をイメージすることが大事だというのだ。
克巳はその教えを信じて必死にイメージを重ね、自分の中で「これだ」という骨格を完成させる。その際に描かれた克巳の骨格には、ありえないくらい関節が増えていた……。そして空中に向けてマッハ突きを放つと強烈な衝撃波が生まれ、その威力で道場のガラスがすべて割れてしまったほどだ。
とはいえ、実際に関節が増えたわけではなく、あくまでそういうイメージを持ち、それに従って身体を使うことが大事という教えだと思われる。卓越した想像力が結果的に肉体強化につながり、実際にマッハ突きを超える「真マッハ突き」が完成したのだから凄まじい。


