長く続く『ガンダム』シリーズの魅力の1つとして、濃密な人間ドラマが挙げられる。たとえば多くの主人公たちは、戦いの中で苦悩や葛藤を繰り返しながら周りの人間と衝突し、成長していく姿が感動をもたらした。
また登場キャラ同士のさまざまな恋愛模様も描かれ、『機動武闘伝Gガンダム』や『機動新世紀ガンダムX』のように、主人公とヒロインの恋愛が物語の軸に置かれた作品も存在する。
そんな『Gガンダム』のヒロインであるレイン・ミカムラは、アニメの最終回で主人公のドモン・カッシュと結ばれた。そして2025年の放送30周年記念に公開された外伝ストーリー『機動武闘伝Gガンダム外伝 英雄変生』にて、2人のあいだに「エイチ・カッシュ」という娘が生まれていることが判明し、ファンを驚かせている。
このように歴史ある『ガンダム』シリーズの中には、アニメ劇中や外伝作品にて主人公と結ばれ、母親となったことが描かれたヒロインもいる。そんな彼女たちが、どのような生活を送っていたのかをあらためて振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■お嬢様から宇宙海賊船長、そしてパン屋さん…!?
劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』のヒロインであるセシリー・フェアチャイルドは、その物語の続きが描かれた長谷川裕一氏のコミック『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』(KADOKAWA)の中で、シーブック・アノーと結ばれ、一児の母となったことが明かされている。
このときセシリーは、『F91』の主人公だったシーブックと一緒にパン店を営んでいた。そしてさらなる物語『鋼鉄の七人』では、セシリーが二人目の子を身ごもっていることも描かれている。
彼らの店の評判は上々のようで「作っている人が幸せだから出せる味」とうわさされ、夫婦仲も良好であることがうかがえた。
しかし、そこに至るまで2人の歩んできた道は苦難の連続だった。コスモ貴族主義を掲げるロナ家の血を引くセシリーは「クロスボーン・バンガード」に反旗を翻し、彼女が貴族主義を否定したことで戦いは終わった。
それから時が経ち、今度はひそかに地球侵攻を目論む「木星帝国」の野望を阻止するため、シーブックはキンケドゥ・ナウと名を変えて戦う。そしてセシリーも再びベラ・ロナを名乗り、宇宙海賊である新生「クロスボーン・バンガード」を結成。シーブックは右腕を失う瀕死の重傷を負いながらも奇跡の生還を果たし、木星帝国の野望を打ち砕いて、ようやく平穏な生活を取り戻すのである。
ちなみにセシリーの継父はもともとパン店を営んでいた。店の娘であるセシリーは、宇宙海賊時代からストレス解消のためにパンを焼くことを趣味にしており、2人がパン店という職を選んだのは、ある意味自然なことだったのかもしれない。
■消息不明になったカップルが手にした平穏な日常
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』のヒロインであるアイナ・サハリンは、その後日談を描いたOVA『ラスト・リゾート』にて、主人公シロー・アマダと一緒に暮らし、彼の子どもを身ごもっていることが描かれた。
もともとシローとアイナは一年戦争時、連邦軍とジオン軍という異なる陣営に属した敵同士であった。しかし戦いを経て惹かれ合った2人は、アイナの兄であるギニアス・サハリンが作り出した巨大モビルアーマー「アプサラス」を倒すために共闘。最後は刺し違えるかたちで撃破し、その後2人の消息は分からなくなっていた。
両機の大爆発に巻き込まれ、生存は絶望的されていたが、『ラスト・リゾート』のラストシーンで2人が健在であることが判明する。ジャングルの奥深くに小屋を建てて暮らしていたシローは、左足の膝から下を失い、杖をついていたが元気そうな姿を見せ、アイナは大きくなったお腹を慈しむ様子が描かれていた。
劇中では、2人は大自然に囲まれた庭で優雅にお茶を飲んでいたようで、シローとアイナは戦いから離れ、穏やかな日常を送っている幸せそうな様子が見てとれた。


