選挙と政治という難しいテーマをコミカルかつハイテンポに描きつつ、現代社会が抱えるさまざまな問題にも切り込んでいるドラマ『銀河の一票』(フジテレビ系)。第8話では、レジェンド声優の日髙のり子さんが声を失ったウグイス嬢役で出演し、その熱演が大きな反響を呼んだ。
6月15日に放送された第9話では、都知事選の告示日を目前に各陣営が準備に追われる様子が描かれた。そんななか、人気声優の梶裕貴さん演じるAI企業社長・風間藍生にスポットが当たり、その意外な過去や人柄が明かされたことで視聴者の注目を集めた。
※本記事にはドラマ『銀河の一票』第9話までの内容を含みます。
■オタク気質で人がいい?キャラクター性抜群な風間藍生に「いいキャラ」の声
第3話で初登場したAI企業社長・風間藍生。劇中では「次の都知事になってほしい人アンケート」で第2位にランクインするほどの注目人物として紹介された。
藍生は人当たりの良さそうな男性だが、テレビでは強気な発言を繰り返し、軽いノリで大きな理想を語るビッグマウス。そのうえ一人称は「おいら」でどこか“中二病気質”も漂わせるなど、その濃すぎるキャラクターで視聴者に強烈な印象を残した。
そんな個性が周囲を惹きつけたのだろう、彼はあれよあれよという間に都知事選に参戦することとなる。しかし、やる気に燃える事務所スタッフや世間からの期待の声とは裏腹に、本人は時折どこか浮かない表情を見せていた。
そして第9話では、その理由が明かされた。
藍生は、元西多摩市市長で、現在は月岡あかり陣営にいる雲井蛍(シシド・カフカさん)から直々に票を割るための対立候補として出馬を頼まれていた。
蛍は彼を、「当選しても落選してもあなたはこの国を救う。救ってみない? 風間藍生」とあまりにも格好いい言葉で口説き落とす。そんな誘い文句が中二病気質な藍生の心に刺さらないはずがなく、ほとんど“ノリ”で出馬を決めたにすぎなかったのである。
しかし、藍生陣営が好調な滑り出しを見せるなか、出身大学の情報がないことを不審に思った有権者からホームページに質問が寄せられる。そのことをきっかけに、彼が中卒であることが明らかに。そして「学歴は一切問われない」と励ますスタッフたちに対し、藍生は「おいらはそんなもんなのさ。やりたいことだけヘラヘラやって、なぜかうまいことここまで来ちゃっただけのやつ」と自嘲気味に本音を吐露する。
普段は自信満々に見える藍生だが、この言葉には、周囲の期待に応えられるのかという不安や引け目がにじんでいた。いつの間にか責任ある立場へと押し上げられ、「こんなにもご立派なニキネキ達(※ネットスラングで親しみをこめて「兄貴」「姉貴」と呼ぶ表現)の人生ぶっ込まれてしまうとは……」とプレッシャーを感じる様子、そして自らの弱さや迷いを隠さず打ち明ける姿には、それまでのスマートなイメージとは違う“人間臭さ”があった。
そんな彼を前に、藍生を擁立した元都連会長・葛巻仁志らスタッフは、その思いを丸ごと受け止め、「あなたが私たちを背負うのではなく、私たちがあなたを背負い担ぐ」「自分達はあなたを担ぐべき器だと見抜いた」と覚悟を示す。彼らの真っ直ぐな気持ちに触れ、藍生もまた少しずつ前を向き始めるのであった。
普段は軽口を叩きながら飄々としているものの、自分を支えるスタッフたちの思いを受けて真剣な表情をのぞかせる――。軽やかな振る舞いの奥にある熱さや誠実さが、藍生の大きな魅力として描かれた第9話となった。
こうした人間味あふれる一面や運営スタッフとの絆に心を掴まれた視聴者は多く、「藍生陣営も応援したくなった!」「誰も悪者にしないところが最高」といった声が相次いだ。
梶裕貴さんは、そんな藍生の胸の内を、セリフはもちろんモノローグでも繊細かつ感情豊かに表現。理想と不安の間で揺れ動く姿を、豊かな声の演技で描き出し、視聴者を魅了した。軽妙さと繊細さを併せ持つ藍生というキャラクターがより人間味あふれる存在になっていたのは、間違いなく梶さんの演技力があってこそだろう。
ファンからは「梶さんのモノローグ最高」「ニキネキ呼び笑ったしオタクっぽさもいい」といった称賛の声が続出。長年のファンはもちろん、あまりアニメになじみのない視聴者からも改めて、その演技力の高さに注目が集まることとなった。
一連のシーンは藍生を主人公にした1本の短編を見ているかのような味わいがあり、第9話は梶さんの魅力はもちろん、藍生というキャラクターの奥深さを改めて実感させる回だったと言える。ここから本格的に激しさを増していく選挙戦で彼がどのような表情を見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。
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