■制御装置が外れると世界が危機に陥る!?

 楠雄の頭部にはピンク色の球体状の装置が左右に付いているが、これは兄の空助が製作したもので、左側の装置は楠雄の強力な超能力を抑える効果がある。楠雄は成長とともに超能力が強力になり、小学校5年生のときには自分の意志によって、世界の常識を根本から改変してしまう「マインドコントロール能力」に目覚めるなど、力を制御しないとまともな日常生活が送れないほどだった。

 そのため、頭部の制御装置が外れると能力が暴走してしまい、壁によりかかっただけでコンクリートブロックを破壊してしまうなど、さまざまな弊害が生じる。さらに楠雄が眠っている間に制御装置が取れると、無意識に超能力を発動させてしまう、通称・お寝超(おねちょ)が起こり、寝返りで家を破壊したり、時空跳躍(タイムリープ)で歴史を改変したりという大惨事を巻き起こす危険性がある。

 実際に、アニメ第1期のエピソード「わっΨびーん!沖縄修学旅行」では、居眠りをした楠雄の制御装置を照橋心美が外してしまい、宿泊先のホテルを海にワープさせ、照橋を襲う熊をワンパンで空の彼方に吹き飛ばすといった展開も描かれた。

 楠雄の超能力は、制御が利かなければ人間の体や精神にまで効果が及び、範囲はなんと宇宙全体。しかも、マインドコントロールで塗り替わった常識は元に戻ることはないなど、ギャグ作品には似つかわしくないほど強大で深刻な能力となっている。

■日本を救うため人知れず壮絶な戦いを繰り返していた主人公

 楠雄には未来を予知する力があり、火山の大噴火により日本が終焉を迎える未来を防ぐため、毎年山を訪れ、超能力で噴火を抑えようと奮闘している。そして、失敗するたびに地球の時間を1年間戻して日本の危機を回避しているのだ。

 なお、1年間を繰り返していることについては、世界中の人々が違和感を覚えないようにマインドコントロールで認識を書き換えている。楠雄は修行で超能力を鍛えているが、それでも噴火を抑えるのは至難の業であり、作中では1年間を4回繰り返していた。

 ギャグ作品とは思えない深刻な未来に対して、人知れず戦う楠雄の姿が描かれたのが、アニメ『完結編』の「後編」である。過去の失敗を教訓に楠雄は、予知能力を持つ転校生の相卜命(あいうら・みこと)に噴火が起こる場所を予言してもらう作戦を立てる。

 さらには兄・空助に噴火を抑えるためのアドバイスも受け、最終的にはボロボロになりながらも、ついに噴火を抑えることに成功した。

 マンガやアニメでは登場人物が年を取らず、夏休みやクリスマスなどの季節イベントを何度も経験することは珍しくない。このよくある設定を伏線としてしっかり回収するところからも、『斉木楠雄のΨ難』がギャグの枠を超えた規格外の作品といえるだろう。

 

 楠雄の超能力と秘密に関するエピソードを紹介してきたが、基本はギャグテイストなので気楽に楽しめる作品でもある。ボケまくるキャラクターと怒涛のツッコミがクセになる『斉木楠雄のΨ難』ワールドに、今一度ハマってみてはいかがだろうか。

 

■アニメ放送10周年!原作をAmazonでチェック!

斉木楠雄のΨ難 1 (ジャンプコミックス)
斉木楠雄のΨ難 1 (ジャンプコミックス)

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3