春ドラマ最大の「ダークホース」、畑芽育&志田未来『エラー』は“令和のジェットコースタードラマ”だった!の画像
ドラマ『エラー』メインビジュアル (C)ABCテレビ(C)テレビ朝日

 「今期いちばん面白いドラマは?」と聞かれたら、「うーん、やっぱり『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)かなぁ……」となるのに、「じゃあ、いちばん楽しみだったドラマは?」と聞かれると、『エラー』(テレビ朝日系)が浮かぶ。

 正直、このドラマにここまでハマると思っていなかった。最終回まで、「うわっ、そうくるか!」の連続で、めちゃくちゃ楽しませてもらいました。

※本記事には作品の内容を含みます

■ご都合主義と言わないで! “偶然”も度を超えるとクセになる

 このドラマには、いくつもの偶然が起こる。

 まず、中田ユメ(畑芽育)が、自殺をしようと屋上にいた大迫美郷(榊原郁恵)を“偶然”見つけるところから物語は始まる。

 ユメの説得によって、美郷は自殺を踏みとどまり、めでたしめでたし──となるはずが、そこに飛んできたハト。とっさにハトを払い除けようとしたユメの手が“偶然”当たったせいで、美郷は屋上から転落してしまう。

 そこに“偶然”居合わせた近藤宏(原田龍二)が、落下してくる美郷にぶつかり、意識不明の重体に。さらには、宏の娘はユメの弟が片思いしている同級生という。こちらも特大な“偶然”である。

 偶然はまだ終わらない。引っ越しセンターで働くユメが仕事で担当することになった家が、大迫未央(志田未来)、“偶然”にも美郷の娘だった──ときた。

 はい、ここまででわたし、何回“偶然”って言いました? 美郷の転落死を担当する刑事・遠藤孝彦(岡田義徳)も「あれ? 俺、いま“偶然”って何回言った? そんな偶然あるのか?」と言っちゃうくらいに、偶然が積み重なってこのドラマは出来ています。

 「ドラマはフィクションだから」と思うタイプのわたしでも、「おいおい、そんなのアリかよぉおおお!」とツッコみたくなるくらい、ご都合主義な部分はある。ただ、ここまで突き詰めると、「こんなに偶然を思いつく製作陣、すごくね?」とむしろ感心してしまうのが、人間のサガってやつ。

 今週は、どんな「え~~~~!」「そう来たかぁぁ~~!」を味わえるのかなぁ、とワクワクして、放送開始10分前からテレビの前で正座待機をしておりました。

■“カオス展開”の裏に隠されたヒューマンドラマ

 このドラマ、視聴していなかったら本当にカオスに聞こえる設定なのに、登場人物それぞれに「分かる」と共感できる部分があるからすごい。偶然の連発のせいで埋もれてしまっていたけれど、最終回まで見たら、実はものすごく深いヒューマンドラマなのかもしれない……! と思えるだけのものがあった。

 まず、自殺をしようとしていた美郷には、娘の未央あてに残した遺書があった。なので、警察も「はいはい、筆跡も一致しているし、自殺でしょ」と片付けようとしていたのに、なぜかユメが未央に近づいていくものだから、美郷の死をめぐる違和感が少しずつ浮かび上がってくるのだ。

 ユメは、美郷に殺意があったわけではないので(むしろ救おうと屋上の美郷に近づいた)、もちろん罪悪感にさいなまれている。「言わなきゃバレないんだから、言うなよ」と思う人もいるかもしれないけれど、自分のせいでひとりの人間が命を落とした事実をなかったことにして、のうのうと生きられる人って、そうはいない。そしてユメと未央は友人として、心を通わせていく。

 終盤に近付くにつれ、未央はユメが美郷の死に関わっている真相を知るのだが、ユメと仲良くなりすぎたあまり、恨みきれない未央の気持ちも分かる。いや、普通は「二度と顔も見たくない!」となると思うが、そもそもユメがいなかったとしても、美郷は自殺をしていたわけで……。このあたりが、本当に厄介なのだ。

 いちばんの悪者は、ユメから打ち明けられた際、自首を勧めず「逃げよう」と言った、ユメの恋人であり同僚の佐久間健司(藤井流星)なのでは? という意見も多いけれど、彼はただ美郷を見捨てたわけではない。

 奥さんに不倫がバレることを恐れて、その場を離れたわけだが、ちゃんと匿名で救急車を呼んだあたり、完全な悪人ではないのだろう。ここで、ただ逃げていたら、ガチの最悪な人になっていたわけだけど……。

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