冨樫義博氏による大人気漫画『HUNTER×HUNTER』には、数多くの魅力的な組織や勢力が登場する。そのなかでも、物語の初期から圧倒的な存在感を放ち、読者に強烈なインパクトを与え続けているのが、世界屈指の暗殺一家「ゾルディック家」である。
主人公・ゴン=フリークスの親友、キルア=ゾルディックの実家として知られるが、その実態はいまだ多くの謎に包まれている。
今回は、『HUNTER×HUNTER』屈指のミステリアスな一族「ゾルディック家」の実態を振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■暗殺一家の本拠地が観光名所? 訪問者を選別する「試しの門」
ゾルディック家の本拠地は、パドキア共和国デントラ地区にそびえ立つ標高3722mの山、ククルーマウンテンに存在する。この山全体を含む広大な敷地はすべてゾルディック家の私有地であり、その頂上付近に暗殺一家の屋敷が構えられている。
驚くべきことに、この場所は地元では有名な観光名所となっている。敷地を囲む巨大な石壁の前には観光バスが停車し、ガイドが“伝説の暗殺一家の家”と紹介する光景が日常的に見られるのだ。世界最高峰の暗殺一家でありながら、その住まいの所在地は広く世間に知れ渡っているのである。
とはいえ、当然ながら観光気分で敷地内に足を踏み入れたら命の保証はない。敷地を隔てる正門は「試しの門」、別名「黄泉(よみ)への扉」と呼ばれており、この正門以外のルートから侵入しようとした者は、敷地内に放し飼いにされている巨大な番犬・ミケの餌食となってしまうのだ。
また、この「試しの門」は7層の巨大な扉で構成されており、訪問者は自らの腕力で扉を押し開かなければならない。最も小さな第1の扉ですら左右合わせて合計4トン。第2の扉は8トン、第3の扉なら16トンと、大きくなるにつれて重量は倍々に増えていく。そして最高難度の第7の扉ともなれば、その総重量は256トンにも達するのだ。
ちなみに、ハンター試験後に帰省したキルアは、1人で第3の扉まで(16トン)をクリアしている。さらにその後、「会長選挙・アルカ編」でアルカを連れ出すために再帰省した際には、なんと第5の扉まで(64トン)を単独で押し開くまでに成長していた。この描写は、キメラ=アントとの死闘を経た彼の成長を示すものであった。
■黒髪は操作系、銀髪は…? 血統に隠された法則と暗黒大陸の影
伝説の暗殺一家であるゾルディック家は、そのメンバーも非常に個性的である。現在判明しているメンバーは、高祖父のマハ、祖父のゼノ、父のシルバ、母のキキョウ、そして5人の兄弟である。
この5人兄弟の名前には、ある有名な法則がある。全員の名前に「ル」の文字が含まれているほか、さらに長男イルミから始まり、次男ミルキ、三男キルア、四男アルカ、五男カルトと、“しりとり”になるよう名付けられているのだ。
また、ゾルディック家の血統に関しては、「髪色と念系統の奇妙なつながり」も指摘されている。
イルミ、ミルキ、カルトといった黒髪の兄弟の多くが“操作系”の能力者である。なおアルカも黒髪だが、「冨樫義博展 -PUZZLE-」で公開された「冨樫メモ」によると特質系とされている。ただし、アルカに取り憑いている「ナニカ」が暗黒大陸出身ということもあるので、これは例外と考えたい。
一方、歴代の家長であるゼノやシルバ、そして次期家長と目されるキルアはそろって銀髪だ。キルアは“変化系”、シルバとゼノは“放出系”と系統こそ異なるものの、彼らはいずれも操作系とは異なる直接的な戦闘スタイルに長けた能力者である。
また、ゾルディック家には「家族同士は殺さない」という鉄の掟が存在する。伝説の暗殺一家としては少し意外にも思えるルールだが、アルカに宿っている「ナニカ」の能力を巡ってイルミとキルアが激しく対立した際も、この掟は絶対的な行動原理として機能していた。歪でありながら強固な家族観があるのも、ゾルディック家の特徴だ。
そして、どんな“お願い”でもかなえることができるという、四男アルカに宿る存在「ナニカ」だが、コミックス第33巻ではナニカのイラストとともに「暗黒大陸出身です」と記され、長らく謎だったその出自が明らかになった。
かつてアイザック=ネテロらとともに非公式で暗黒大陸へ渡航したメンバーにいたジグ=ゾルディックは、その名から一族の者である可能性が高い。その人物が、五大厄災の一つである「欲望の共依存・ガス生命体アイ」を持ち帰り、それが巡り巡って子孫であるアルカに宿ったという説が現段階では濃厚である。今後、その全貌が明かされることになるだろう。


