■最終試験はまさかの面接…ゼーリエの直感が見抜く“才能”
作中で描かれた試験では、第二次試験を12名もの受験者が突破するという、例年では考えられない事態が発生した。本来、第三次試験はレルネンが担当する予定であったが、合格者が多すぎるという理由から、急遽、創始者であるゼーリエ自らが試験官を務めるという異例の形式に変更された。
その試験内容は、ゼーリエとの一対一による「面接」である。とはいえ、それは一般的な対話形式とは大きく異なる。ゼーリエが受験者と簡単な会話を交わし、その直感によって即座に合否を下すというものであった。ちなみに、フリーレンが「ゼーリエの直観はいつも正しい」と語るように、その判断に疑いの余地はない。
この試験形式により、圧倒的な実力を持つフリーレンが不合格となる一方、フェルンは、一級魔法使いのレルネンすら気づけなかった、ゼーリエが魔力を抑えている際のわずかな“揺らぎ”を瞬時に見抜き、その才能を高く評価されて合格となった。
最終的な合格者は、フェルン、デンケン、ユーベル、ラント、ヴィアベル、メトーデの6名。合格者が出ない年もある中で6人もの一級魔法使いが誕生した今回は、極めて珍しい“豊作の年”だったといえるだろう。
なお、合格者にはゼーリエから望む魔法をひとつ授けられる「特権」が与えられる。願いによっては富や強大な力が思いのままのはずだが、フェルンが選んだのは、「服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法」だった。
壮大な力を求めないところに、どこか師であるフリーレン譲りの魔法観が感じられると同時に、長旅における彼女なりの切実な悩みが透けて見えるようだ。
一級魔法使いという制度は、魔王軍との長い戦火の時代を生き抜く“強い魔法使い”を求め続けた創始者・ゼーリエの価値観に基づいている。そしてそれは同時に、彼女の弟子・フランメの「人類の魔法を守ってほしい」という願いとも複雑に結びつき、成立している制度でもあった。
だからこそ、この一級魔法使い試験は単なる技術や知識を測る資格試験ではなく、「魔法使いとしてどう生きるのか」を問われていたのだろう。
「一級魔法使い試験編」で登場したデンケンやヴィアベル、メトーデ、ユーベルといった新たな一級魔法使いたちは、その後の物語でも存在感を発揮していく。多くの魅力的な新キャラクターたちを生み出し、『葬送のフリーレン』の世界観を大きく広げた「一級魔法使い試験編」は、本作における重要な転換点といえそうだ。
■Kindleで『葬送のフリーレン』をチェック



