最近、TikTokを中心にバズりまくっている曲『最初はキュン!』。ケンティー(本稿では、敬意を込めて中島健人さんのことをケンティーと呼ばせてください)の甘い歌声はもちろん、キャッチーなフレーズに、中毒性のあるメロディ。「この曲を作った人、天才すぎん?」とクレジットを確認してみたところ──“作詞作曲:Kento Nakajima”。
そう、まさかのケンティーだったのである。「え、え、え?」と、思わず三度見してしまった。アイドルとして第一線を走り続けながら、俳優としてドラマや映画などの映像作品でも活躍して、さらには作詞作曲までこなしてしまう。しかも、どの分野においても、「これが本業です」と言えてしまうレベルのスキルを持っているって……! 神は一体、何物を与えるんだ。
わたしは、ケンティーのことを“エンタメ職人”だと思っている。
■「できるわけない」を覆したケンティーの説得力
そんなケンティーが、現在放送中のドラマ『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(NHK総合/以下『コンビニ兄弟』)で演じているのが、“老若男女をとりこにする魔性のフェロモンだだ漏れ店長”志波三彦(番組公式の紹介文が強すぎますよね)。
町田そのこさんの原作小説も読んでいた私は、「いつか、実写化してほしいな~」と思いながらも、「いやいや、三彦を演じられる人間なんて、いなくない?」と自己完結して諦めていた。
だって、三彦は原作小説『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮文庫)のなかで、“フェロモンを半永久的に垂れ流す源泉のような器官ができているに違いない”、“テロ行為のごとく色気をまき散らすコンビニ店長”と称されるような男だ。こんなの、二次元だから成立するのであって、実写化できるはずがない。少なくとも、わたしはそう思っていた。
そんななか、発表された『コンビニ兄弟』のドラマ化。そこに、ケンティーの名前があったとき、わたしは“勝ち”を確信した。“フェロモン店長”こと三彦の現実離れしたキャラも、ケンティーなら違和感なく成立させてしまう気がしたからだ。実際に放送が始まると、「三彦って、ケンティーに当て書きしたキャラなの……?」と思うほど、しっくりきすぎていたからやっぱり驚いた。
「この店を選んでくれたあなたに、最大の愛を」なんて、普通のコンビニ店員が言うはずがない。でも、ケンティーが演じていると、不思議と“アリ”になってしまう。むしろ、「三彦なら言うかも」「ってか、ケンティーがコンビニ店員をやっている世界線があったら、こんな感じだったかも」と納得させられてしまうのだ。
キザすぎるセリフを言うときは、照れが出たり、ギャグに逃したくなる人もいると思う。しかし、ケンティーは逃げない。いつでも全力でロマンティックをやり切る。だからこそ、視聴者も“どうせ、フィクション”と突き放されることなく世界観に入り込むことができるし、三彦という二次元すぎる男にも、ちゃんと現実味が宿るのである。
レジでお客さんに、「見てくれる? リップ変えたの!」と言われれば、「本当だ。普段より可愛らしい雰囲気になっているのは、その桜色の唇のせいですね」と返し、後ろに並んでいるお客さんが「わたしだって、ネイル変えたの!」とヤキモチを焼けば、「ゼリービーンズみたいで食べてしまいそうに可愛い」と完璧な返しで場を制してしまう。まるで、ケンティーのリアルな神ファンサを間近で見ているような気分になる。


