■路地裏で見えた無惨の本性
鬼にも特例がいるということが分かった一方、前回、新人隊士である炭治郎にうっかり見つかるというミスを犯した無惨についても、彼の人となりの片鱗が見えた。
耳飾りのついた剣士である炭治郎の存在に動揺した無惨は、路地裏で道ゆく酔っ払いにからまれ、初めは「すみません」といなしていたものの、「青白い顔しやがってよ 今にも死にそうだな」と言われたことが癇に障り、裏拳で壁に打ちつけて殺してしまう。続いて連れである男性の兄や女性も有無を言わさず続けざまに殺害。堪え性のない無惨の性格が露見する。
特に最後に女性を殺した場面は、『鬼滅の刃』史上でも1、2を争うほど恐ろしい描写だった。
無惨は先ほどの男性に言われたことを根に持っているようで、「自分は死にそうに見えるか」と一方的に問い、恐怖で動けない女性の眉間に爪を立てて自身の血液を流し込む。女性の体は血管が浮き上がって痙攣し、体の内側がボコボコとうごめいた後、人の原型をとどめない肉の塊になって崩れた。無惨の血液を体内に取り込むと、人間の体は変貌の速度に耐え切れず細胞が壊れるという。
注ぎ込まれた血の量にも関係はありそうだが、作中で鬼になったキャラたちもその素質がなければ、このようなおぞましい最後を遂げていたのかもしれない。
ただでさえ男性が凶暴化して、浅草は大騒ぎになった。その路地裏であれほど凄惨な事件が起きれば、さらに大ごとになっていそうだ。特にあの女性の遺体については、人間による仕業とは到底思えないだろう。
『立志編』の終盤では無惨が下弦の鬼を一度に粛清する、通称「パワハラ会議」が行われるが、後先考えずに一般人を大量殺害した姿からも、やはり無惨には計画性がないように感じられる。
冷静な珠世と、キレやすい無惨の対比が描かれた今回。この様子に『柱稽古編』最終話での攻防を思い出した人もいるだろう。突然の産屋敷家の爆発に動揺する無惨と、虎視眈々と機会をうかがっていた珠世が足止めをして一矢報いる展開は、互いの性格の違いを象徴するようでもあった。
また、他者を鬼にする力を持つ2人だが、珠世が不治の病の人に対して「鬼になっても生きながらえたいか」と本人の意思を尊重したのに対して、無惨は自分の都合で他者を言いくるめて鬼にしているという点も対照的に描かれている。
ともに長い年月を生きる鬼でありながら、やはり無惨はプライドが高く、どこか幼稚であるようにも感じられる第8話だった。次回、炭治郎らは無惨の差し向けた2人の鬼と戦うこととなる。



