■執念が生んだ逆転の切り札「ミラージュターン」
テレビシリーズ時代、未熟な新人ドライバーだったハヤトをどこか弟のように気にかけ、ときに導いてきたブリード加賀。だが、最終章『新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN』の頃のハヤトは、「人とAIの融合」とも呼べる完成形へと至っていた。かつての弟分は、今や加賀が超えるべき最大のライバルとなっていたのである。
そんな絶対王者のハヤトに対抗すべく、第9戦イタリアGPで彼が生み出したのが「ミラージュターン」だった。
これは、超高速で車体の向きを連続変化させることで残像(ミラージュ)を発生させながら旋回する、常軌を逸したコーナリング技術だ。抜かれた相手からは、まるでマシンが2台に分身したかのように見えるという。
そして迎えた最終の第10戦・日本GP。ワールドチャンピオンの座をかけ、ハヤトと加賀は最後の直接対決へ突入する。互いの全力をかけた運命の最終ラップ。テレビシリーズから続く宿命のライバル同士によるデッドヒートのなか、ミラージュターンを発動した凰呀(オーガ)が、分身したかのような軌道でνアスラーダへ襲いかかる。ハヤトの「ZEROの領域」ですら捉えきれない一瞬の隙を突き、加賀はついに王者の前に出た。
しかし、ハヤトも黙ってはいない。最終コーナーでリフティングターンを炸裂させ、再び前へ躍り出る。だがその瞬間、凰呀は加賀の意志に応えるかのようにブーストをスタンバイ。最後に放たれた加賀のブーストが王者νアスラーダを捉え、凰呀は僅差でフィニッシュラインを先に通過する。これにより、加賀は自身初となるワールドチャンピオンの座をつかみ取った。
絶対王者を超えたいという執念。何度叩きのめされても食らいつき続けた意地。そんな加賀の想いに凰呀が応え、奇跡の逆転優勝を結実させたのが、この「ミラージュターン」だったのである。
『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』の魅力は、単なるマシンの速さや奇抜なテクニックだけではない。AI時代のレースでありながら、最後に勝負を決めるのはドライバーの覚悟や執念、そしてマシンとの信頼関係だった。
だからこそ、ハヤトのイナーシャルドリフトやリフティングターン、加賀のミラージュターンといった技は、単なる必殺技以上の重みを持っている。
放送開始から35年経った今も語りたくなる理由は、きっとそこにある。35周年という節目を迎えた今だからこそ、あらためて本作の熱きレースと伝説のスーパーテクニックを見直してみてはいかがだろうか。
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