吾峠呼世晴氏の漫画『鬼滅の刃』は、人を喰らう鬼が存在する世界を舞台に、鬼殺隊の隊士たちが「日輪刀」を手に鬼との死闘を繰り広げる物語である。特殊な呼吸法を用いて繰り出される多彩な技、そして命をかけて鬼と戦う彼らの姿は、ファンの心を掴んで離さない。
多くの魅力的なキャラクターが登場する本作だが、改めて物語を読み返すと「実はとんでもない逸材かも?」と思えるほど、特異な才能を持つ者たちがいることに気づかされる。
今回は、そんな『鬼滅の刃』に登場する唯一無二の才能を持ったキャラクターたちを振り返っていきたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■育手なしで最終選別を突破…嘴平伊之助
主人公・竈門炭治郎の同期である嘴平伊之助は、猪の頭皮を頭に被り、上半身は裸という強烈なスタイルで登場するキャラクターだ。
「山の王」を自称する彼は、赤ん坊の頃に山に捨てられ、猪に育てられた異色の経歴を持つ。ちなみに、伊之助が被っている猪の頭は、自分を育ててくれた猪の形見だという。
伊之助は藤襲山で行われた「最終選別」では姿を見せなかったものの、最終的に合格した5人の中に含まれており、後に炭治郎や、同じく同期の我妻善逸と行動を共にすることとなる。
伊之助の特筆すべき点は、鬼殺隊の剣士を育てる「育手」の指導を受けずに、独力で最終選別を突破したことにあるだろう。炭治郎が水柱・冨岡義勇の紹介で育手である鱗滝左近次の元で過酷な修行を積んだことからも、育手の存在の重要性がうかがえる。
しかし、伊之助は山で偶然出会った鬼殺隊士との力比べに勝ち、刀を強奪。その際に鬼殺隊の最終選別や、鬼の存在を知った。そして誰よりも早く藤襲山へ入山し、7日間を生き抜き、選別を突破した後は早々に下山していたのだ。
育手を介していない伊之助は、当然ながら「呼吸」も伝授されていない。しかし驚くべきことに、伊之助は完全に“我流”で「獣の呼吸」を編み出している。呼吸の種別としては「風の呼吸」の派生とされているが、「◯◯ノ型」と呼称するところを「◯◯ノ牙」と言い換えて使用するなど、随所に伊之助らしさが見られるのも面白い。
通常、赤ん坊が山に捨てられてしまえば、あっという間に命を落としてしまうだろう。しかし、幸運にも生き延び、独自の呼吸法まで編み出せた伊之助。まさに生命力と戦闘センスの塊であり、とんでもない才能を秘めた逸材だと言える。
■鬼を喰らいその力を得る特異体質…不死川玄弥
とんでもない才能を持つ人物と言えば、炭治郎の同期である不死川玄弥もその1人だ。彼は、風柱・不死川実弥の弟であるが、兄とは対照的に剣士としての才能には恵まれなかった。
若くして柱まで上り詰めた兄との違いに追い詰められた玄弥は、なんと「鬼を喰う」という常軌を逸した行動に出る。その結果、彼は自身が持つ特異体質に気づいた。
玄弥は人並外れた咬合力と特殊な消化器官により、鬼の肉体の一部を吸収して一時的に鬼の力を手にすることができる体質であったのだ。この「鬼喰い」によって、一時的ではあるが彼は鬼のように変貌し、驚異的な再生能力と人間離れした怪力を発揮できる。作中ではこの力を用いて、上弦の肆・半天狗とも渡り合っていた。
しかも、喰らった鬼が強ければ強いほど、回復速度や筋力の向上も格段に上がるという。つまり、強い鬼と戦えば戦うほど自身も強くなる可能性を秘めているというわけだ。まさに規格外の能力である。
そして、剣士の才能がない玄弥は、鬼殺隊士の中では珍しい銃を使用するキャラクターでもある。鬼の力を得て、銃という飛び道具さえ使いこなす玄弥の伸び代は計り知れない。
お館様こと産屋敷耀哉が「五人も生き残ったのかい 優秀だね」と評した炭治郎の同期たち。その中でも、剣技ではなく特異体質で鬼と渡り合う玄弥は、唯一無二の才能を秘めていると言える存在だ。


