■奇策を“完成形”へ「PG仙道」の可能性

 最後に注目したいのが、「ポイントガード(PG)仙道」の可能性だ。

 田岡監督は海南戦において、エースである仙道をPGとして起用した。これは王者・牧に対抗するための奇策であったが、翌年にはこの奇策を奇策としない、完成形として成熟させる構想も十分に考えられる。

 現実のバスケットボール界でも、古くはマジック・ジョンソン(206cm)や、“ポイントフォワード”の先駆者として知られるスコッティ・ピッペン(203cm)、現在では八村塁選手も所属するロサンゼルス・レイカーズのルカ・ドンチッチ(201cm)など、大型選手がゲームメイクを担う例は少なくない。

 実際、海南戦で牧と真っ向から渡り合った“190cmの司令塔”仙道の姿は、田岡監督に1つの大きな確信を与えたはずだ。しかも来年度の神奈川からは、牧や藤真のような全国級のPGが姿を消す。190cmの高さからコート全体を見渡し、卓越したパスセンスで試合を支配する仙道は、県内では極めて特異な存在になるだろう。

 仙道がゲームをコントロールし、福田が得点を量産する。この役割分担が機能すれば、陵南の攻撃は強力で、他校にとって極めてやっかいなものとなる。全国を見渡しても、「PG仙道」を止められるチームはそう多くないのかもしれない。

 

 もちろん、実戦においては新キャプテン体制や新入生との連携など、不確定要素も存在する。しかし、それを差し引いても、経験値・戦力維持・戦術的完成度の3点で、来年度の陵南が神奈川トップクラスであることは間違いない。

 そして、その中心にいるのが、誰よりも“陵南の全国出場”を信じ続けている田岡監督だ。湘北戦の敗北は、陵南の終わりではなかった。むしろ、田岡監督が長年追い求めてきた「最強・陵南」が完成へと向かう、その始まりだったのかもしれない。

 

■26年の時を経て公開された『THE FIRST SLAM DUNK』をPrime Videoでチェック

THE FIRST SLAM DUNK
THE FIRST SLAM DUNK
  1. 1
  2. 2
  3. 3