1980年代の『週刊少年ジャンプ』(集英社)を代表する伝説的作品『北斗の拳』。原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏によって生み出された、この「世紀末救世主伝説」は暴力が支配する荒廃した世界を舞台に「愛」や「哀しみ」を真正面から描き、多くの読者を熱狂させた。また、1984年から放送開始となったテレビアニメ版も、社会現象を巻き起こすほどの大反響を呼んでいる。
そんな『北斗の拳』だが、実は原作漫画とテレビアニメ版では、物語の終着点が大きく異なっている。多くの視聴者に強烈な印象を残した旧アニメ版のラスト、そして原作漫画だけが描いた“その後”の物語を、今回は振り返っていきたい。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。
■“ラオウ昇天”が大きな区切りとなった旧アニメ第1期
1984年から全109話にわたって放送された最初のテレビアニメシリーズ『北斗の拳』は、最高視聴率23.4%を記録し、まさに社会現象と呼ぶにふさわしい人気を博した。
その最終回で描かれたのが、最大の宿敵であるラオウとの最終決戦である。北斗神拳伝承者の座、そしてユリアへの想いをかけた壮絶な戦いの末、ケンシロウが勝利をおさめる。
敗れたラオウは、自らの拳を天に突き上げ、「我が生涯に一片の悔い無し!!」という不朽の名ゼリフを残して壮絶な最期を遂げた。そしてケンシロウは、愛するユリアとともに再び旅立ち、物語は幕を閉じるのである。
この“ラオウ昇天”の場面は、作品を象徴する名シーンとして、今なお語り継がれている。正確にはアニメ第1期の終わりなのだが、あまりに強烈な印象を残したため、この場面こそが『北斗の拳』の最終回だと記憶しているファンも少なくないだろう。
実際、2000年代に制作された『真救世主伝説 北斗の拳』シリーズをはじめ、後年の関連作品においてもラオウとの決着は物語の最大のクライマックスとして描かれ続けている。
■カイオウとの死闘、そして旅立ち…『北斗の拳2』が描いたもう1つの終幕
ラオウとの戦いから数年後を描いた続編として、1987年から1988年にかけて『北斗の拳2』が放送された。本作では、成長したバットとリン、そして再び救世主として立ち上がったケンシロウの活躍が描かれ、「天帝編」と「修羅の国編」が全43話にわたってアニメ化されたのである。
物語はさらに過酷さを増し、ケンシロウはやがてラオウの実兄にして北斗琉拳最強の使い手・カイオウとの死闘に身を投じることとなる。
カイオウは、ラオウをも超える圧倒的な力を持った存在だった。しかしケンシロウは、多くの哀しみと怒りを背負い、激闘の末に撃破する。敗れたカイオウは宿敵であり友でもあったヒョウの亡骸を抱え、母の墓標である灼熱のマグマを浴びて絶命。その体は溶岩に包まれ、石像のような姿となった。
一方、リンはケンシロウへの想いを抱き続けながらも、カイオウに突かれた秘孔「死環白」の影響で記憶を失い、深い眠りについたままであった。この秘孔には「目覚めて最初に見た者を愛する」という恐るべき効果があり、ケンシロウは「俺の行く手には戦いしかない」と言い残し、眠るリンの幸せをバットに託して1人荒野へと去っていく。ここでテレビアニメ『北斗の拳2』は幕を閉じた。
なお、最終回のエンディングでは、第1期EDテーマ『ユリア…永遠に』が流れるなか、これまで出会ってきた仲間や強敵(とも)たちが走馬灯のように映し出された。第1期・第2期あわせて全152話におよぶ長き旅路を締めくくるにふさわしい、感動的なラストであった。


