10代のころは、『アオハライド』や『ストロボ・エッジ』(ともに集英社)など、少女マンガが大好きだった。授業中にクラスメイトとこっそり回し読みをしたり(マネしちゃダメ、絶対)、放課後にそれぞれの“推しキャラ”について語り合ったり。でも、年齢を重ねるうちに、ちょっとずつ少女マンガとの距離ができた。アラサーになったいま、現実の恋はもっと複雑で、そうそう夢みたいなことは起きないことに気づいてしまったからだろうか。いつしか、少女マンガを手に取る機会も減っていた。
──そんなときに出合ったのが、『花嫁殿のレシピ』(双葉社)だった。
大葉ノコ(マンガ)×君原藍(原作)による本作は、いわゆる“契約結婚”もの。春から高校生になる主人公のあきらが、親から婚約者の湊(みなと)をいきなり紹介され、お試し同棲をスタートさせる。正直、「高校生になったばかりの娘を、親の事業のために同棲させるっていかがなものか?」とも思ったが、読み進めるうちに、あきらの両親の深い愛を知ることになる。
そもそも、あきらの両親も政略結婚だったのだ。「初めは望んでもない結婚させられて最悪ー! って思ってたけど。今はこうして幸せに暮らしてるんだから政略結婚も悪くないってことね」という、あきらの母の言葉から、この両親は、娘を利用しているわけではない。ただ、自分たちのように幸せになってほしいだけなのだと伝わってくる。
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■だんだんと恋に落ちていく様子に、止まらない胸キュン旋風
とはいえ、あきらと湊の同棲生活は初めから順風満帆……というわけにはいかない。
あきら自身は、とある理由から結婚を望んでいるのだが、湊には大切にしている彼女がいるため、「俺は君と結婚なんてしないし君にも『俺と結婚なんて絶対したくない』って思わせてやる」なんて宣言してくるのだ(しかも、同棲スタートの日に!)。1年間、一緒の家に住んでみて、湊があきらと結婚したいと思わないかぎり、同棲は解消。最初はあきらも、「結婚相手は誰でもいい」と思っていたはずなのに、だんだんと恋に落ちていくことになる。
それにしても、湊があまりにも魅力的すぎる。“災害級イケメン”と呼ばれているだけあって、ビジュアルは完璧。さらに、サッカー部のキャプテンで、運動神経までいいときた。それだけでなく、同級生のみならず後輩からの支持も厚い。
これだけの条件がそろうと、「少し、出来過ぎでは?」と思う人もいるかもしれない。でも、そうはならないのは、湊に“隙”があるからだ。
湊は性格がいいけれど、誰にでも優しいわけではない。愛想を振りまいたりしないし、彼女のエリにだけ甘い笑顔を見せる。あきらとの関係も、上手くやりすごせばいいのに、「つきあってる人がいるんだ。今回の件も知らせたくない。不安にさせたくないんだ」とキッパリ線を引いたり、そのあたりが、ちょっぴり不器用だ(彼女の立場からしたら、めちゃくちゃ嬉しいやつだけど)。
また、みんなの前では完璧なキャプテンなのに、裏では悩んでしまうところもあったりして。そんな“隙”が、湊をただのハイスペ男子では終わらせない。


