昨今、数多くの漫画やアニメが実写映画化されている。原作ファンにとって、三次元で表現されるキャラクターの再現度が気になるのは当然のことだろう。
観客に違和感を与えずに物語の世界観に引き込むため、俳優たちはときに過酷なトレーニングで体形を変化させるなど、徹底した役作りを行う。特に、大幅な増量や減量といった肉体改造は、単に外見を似せるだけではなく、キャラクターの内面や生き様までをも体現する重要な手段となるのだ。
俳優たちの凄まじい努力によって作り上げられた肉体は、キャラクター造形に圧倒的な説得力をもたらし、作品全体のクオリティをより高みへと押し上げる。
今回は、実写化作品において驚異的な肉体改造を成し遂げた俳優たちを、5回にわたってピックアップし、そのプロフェッショナルな姿勢に迫っていきたい。
(第5回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■引き締まった肉体と徹底研究した女性らしさの融合…『ブルーピリオド』高橋文哉
山口つばささんの大ヒット漫画『ブルーピリオド』は、その人気から2024年に実写映画が公開された。
本作は、1枚の絵に魅せられた不良優等生が、絵を描く楽しみに目覚めていく姿を描いた物語だ。美術に打ち込む学生たちの熱き挑戦や葛藤、友情が、美術の世界観を通して鮮やかに描かれる。
実写化された際、役作りのために大幅なイメージチェンジを図ったのが、主人公・矢口八虎の同級生役として抜擢された高橋文哉さんである。
2019年から放送された『仮面ライダーゼロワン』で初主演を務め大ブレイクした高橋さんだが、本作では八虎の悪友であり、「ユカちゃん」の愛称で呼ばれる同級生・鮎川龍二を熱演した。
鮎川は男子高校生でありながら、長い金髪に女性の服装を纏う、ジェンダーレスな魅力を持つ人気キャラクターだ。高橋さんは原作のビジュアルを忠実に再現するため、もともと細身であった体をさらに絞り、8kgもの減量に成功。女性的な衣装も違和感なく着こなせる、しなやかな体つきを実現した。さらに、できる限り男らしさが表に出ないよう、全身の脱毛も行い、撮影に臨んだという。
長い金髪に女性的なファッションを纏ったその姿は、まさに原作の「ユカちゃん」そのもの。情報解禁時には、ファンから「美人すぎる」と称賛の声が相次いだ。
また、鮎川を演じるにあたり高橋さんは、“自分が可愛くなりたい、綺麗になりたいっていうのを理解することから始めた”そうで、ヨガやエステ、ネイルなどにも挑戦。加えて、ヒールを履いて内股で歩いたり、女性ものの香水などを実際に試してみたりと、徹底的に女性らしさを研究し、役柄への理解を深めていった。
その努力の結果、高橋さんは原作同様の鮎川像を見事に体現。漫画的な要素を多分に含むキャラクターでありながら、スクリーンに映し出される高橋さんの姿からは、実写ならではの説得力ある鮎川像が存分に感じられる。
ちょっとした仕草や表情の中に、鮎川が持つ儚さと力強さが見え隠れする点に、高橋さんの俳優としての力量を感じざるを得ない。
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