緻密な計算に常人離れした身体能力…よく考えると凄すぎる『ゴールデンカムイ』脱獄王・白石由竹が披露した「ありえない脱獄方法」の画像
※画像は2018年4月16日に投稿されたTVアニメ『ゴールデンカムイ』公式X(@kamuy_anime)のポストより「脱獄王 白石由竹」

 野田サトル氏による漫画『ゴールデンカムイ』は、網走監獄から脱獄した「刺青囚人」たちを軸に、軍人や復員兵、幕末を生きた新撰組の生き残り、さらにはアイヌの少女といった多彩な勢力が、莫大なアイヌの金塊を巡って死闘を繰り広げる物語だ。

 登場するのは一騎当千の猛者ばかりであり、物語の舞台である明治後期の北海道は、まさに一攫千金を狙う怪物たちが集う過酷な戦場である。

 そんな中、戦闘能力だけを見れば最弱クラスといっても過言ではない存在……それが、「脱獄王」の異名を持つ白石由竹である。

 コミカルな愛されキャラだが、サバイバルや戦闘では足を引っ張ることも多く、「脱糞王」と揶揄されることもある白石。しかし、それでも彼が物語に欠かせないのは、誰にもまねできない唯一無二の「脱獄能力」を持っているからにほかならない。

 今回は、脱獄王・白石由竹の、あらためて振り返ると凄すぎる脱獄術に迫っていきたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■恋が原動力だった「脱獄王」のはじまり…樺戸監獄

 脱獄王の伝説の始まりは、コミックス第9巻で明かされる。樺戸集治監(のちの樺戸監獄)で、白石は“ある目的”を抱き、脱獄を決意した。

 まず、スリを得意とする囚人に監獄の鍵を盗ませ、粘土で鍵穴の型を取る。次に便箋に使う和紙やごはん粒、亜麻仁油を練り合わせ、偽の鍵を作成。さらに、3人1組の雑居房から、自ら問題を起こしてあえて懲罰房へ移されることで単独行動の機会を確保し、着々と準備を進めていった。

 この段階ですでに職人芸の域だが、本領はその後の「隠蔽工作」にある。懲罰房では尻の穴まで徹底的に調べ上げられる厳重な検査が行われるが、白石は房内にいたミヤマクワガタの体内をくり抜き、その中に鍵を隠すという奇策を講じた。以前からカナヘビやコガネムシを「友達」と称して飼い、看守の目を慣れさせていたのも、すべてはこの瞬間のための布石だったのだ。

 そして嵐の日、すべての音がかき消される瞬間を狙い、白石はついに脱獄を成功させるのである。

 彼をそこまで突き動かした“ある目的”とは、監獄を慰問する「シスター宮沢」への恋心だった。囚人仲間が描いた下手な似顔絵をきっかけに彼女への想いを膨らませ、「ただ会いたい」という一念で、彼は日本全国の監獄を“はしご(脱獄を繰り返す)”し始めたのである。

■激ヤセすら計算か!? 常識外れの脱出トリック…前橋監獄

 同じくコミックス第9巻、シスター宮沢を追い求めてたどり着いた(投獄された)前橋監獄では、白石の身体的な異常性が遺憾なく発揮されることとなる。

 脱獄を警戒され、手錠と鉄丸で厳重に拘束される中、白石は「待遇改善」を求めてハンガーストライキを敢行する。彼はみるみるうちにやせ細り、看守が本気で体調を案じるほどの衰弱を見せるが、これもまた、彼の計算のうちであった。

 その目的は、排泄物をためる桶を外から取り出すための「わずかな隙間」を通り抜けることにあった。極限まで削ぎ落とした肉体と、全身の関節を自在に脱臼できる特異体質を駆使し、白石は関節を外して体を軟体動物のように折りたたみ、物理的に不可能と思われた極小の経路から見事脱出を成功させるのである。

 ただし、この脱出には1つだけ代償があった。自由と引き換えに、その身はどうしても排泄物まみれにならざるを得ないことだ。もっとも当の本人はそんなことお構いなしに、久々の外の空気を心から味わっていたが……。

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