■やらないだろうけど…フリーレンとフェルンを瞬殺できる?

 シュタルクの実力について、フリーレン自身も興味深い話をしている。それはなんと、条件次第では、シュタルクはフリーレンとフェルンの2人を瞬殺できるというものだ。

 大陸魔法協会の創始者であり、現代最強の大魔法使い・ゼーリエに暗殺疑惑が持ち上がり、その護衛として招集されるフリーレン一行。ゼーリエが暗殺されるなど到底信じられないフェルンに対し、フリーレンはあるたとえ話を始める。

 シュタルクから数メートル程度離れた位置に移動すると、こう告げたのである。「この距離でシュタルクに不意打ちされたら私たち2人は何も出来ずに命を落とす」と。

 魔法使いは魔法を発動させるまでにタイムラグがあるため、その間に戦士に襲われたら打つ手がない。特に至近距離からの不意打ちであれば、シュタルクはフリーレンとフェルンを同時に相手にしても勝利できる……という理屈である。

 もちろん、これは理論上の話だ。接近するスピードが遅ければ魔法の餌食となるし、一撃で倒せなければ反撃を食らう。いかに好条件がそろったとしても、勇者一行の魔法使い・フリーレンと、その弟子であり一級魔法使いのフェルンを相手取り、完勝できる戦士がどれだけいるだろうか。

 フリーレンのこの話に対し、シュタルクは「できない」とは否定しなかった。代わりに「…これ以上近づかないようにします…」と涙を浮かべている。たとえ話とはいえ、フェルンが自分を警戒するように後ずさったのが、彼にとってかなりショックだったようだ。

 

 ここまでシュタルクの類まれな素質について振り返ってみた。人間離れした怪力や耐久力がさらに研ぎ澄まされ、彼が戦士として成熟した暁には、師匠のアイゼンすら上回る存在となるかもしれない。

 面白いのは、ふだんのシュタルクからはそうした強者の雰囲気が微塵も感じられないところだ。ちょっとしたことで怖がったり、フェルンの乙女心に振り回されたりする様子は、ごく普通の年頃の青年でしかない。

 そんな彼が、いざという時には歴戦の猛者のような戦いぶりを見せるからこそ、そのギャップが強さをより際立たせ、読者を魅了するのだろう。

 

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