■強者との戦いに没頭しすぎた?「無限列車編」猗窩座
劇場版アニメが公開され、社会現象を巻き起こした「無限列車編」においても、上弦の鬼の油断を見ることができる。
上弦の参・猗窩座は、無限列車の首謀者である下弦の壱・魘夢が撃破された直後、突如として現れた。その彼に立ちはだかったのが、炎柱・煉獄杏寿郎である。
それまで煉獄は、無限列車に捕われた200人もの乗客を助けるために死力を尽くしていた。しかし、彼は疲労の色を見せることなく猗窩座に立ち向かう。その圧倒的な強さと闘気に感銘を受けた猗窩座は、戦いの最中にもかかわらず「お前も鬼にならないか?」と執拗に勧誘を繰り返した。
強さに固執する猗窩座は、たとえ敵であっても強者に対しては敬意を示す特異な価値観を持つ鬼だ。そして『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』によれば、彼は元来「人間と話すのが好き」な性質であり、煉獄という好敵手との出会いに心を躍らせ、夜明けが迫っているというのに彼との戦いに没頭してしまったのである。
陽が昇り始めるまさにその時、煉獄の刀が猗窩座の頸を捉えると同時に猗窩座の拳が煉獄を貫いた。致命傷を負いながらも、煉獄は「絶対に放さん」「お前の頸を切り落とすまでは!!!」と執念で猗窩座を離さない。しかし、ここで猗窩座は自ら両腕をちぎり、その場から必死で逃走することとなった。
強者との出会いに歓喜する気持ちは理解できるが、鬼にとって夜明けは命にかかわるタイムリミットでもある。逃げるタイミングがあと一歩遅れていれば、猗窩座は陽光に焼かれて消滅していたかもしれない。
いつでも逃げられると思っていたのか、あるいは人間などに負けるはずがないと思っていたのか。いずれにせよ、猗窩座の油断が見えた場面である。
紹介してきたように、上弦の鬼たちの敗北の裏には強者であるがゆえの「油断」が存在した。結果的にそれぞれが招いた皮肉な展開なのだが、もし彼らが油断しなければ、戦況は大きく変わっていただろう。
そんな「もしも」を考えつつ、物語を追ってみるのも面白い。劇場版で描かれる「無限城編」は第二章へと進んでいくが、その公開の続報を待ちながら、あらためて本編を振り返ってみてはいかがだろうか。
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