■これまでのシリーズにはなかった新たな試みも
『ルルットリリィ』では、これまでの魔法少女シリーズになかった、新たな試みも多数存在します。
まず、本作はシリーズ初となる「W主人公」であること。そして小さな女の子が大人の姿に変身するという伝統がありましたが、今回「中学生の魔法少女(姉の流)」という新機軸を打ち出しました。
従来の主人公像に近い小学生の風に加えて、より“大人”に近い中学生の流が、どのような成長を遂げていくのかも楽しみな部分です。
次に特筆すべきは、魔法のアイテムの出現方法です。マミのコンパクト(魔法のステッキが収納)やエミのブレスレットなど、これまでのシリーズでは魔法のアイテムは妖精から授けられてきました。
ところが、リリィとルルの姉妹が持つコンパクトは「本人の内」から現れます。彼女たちに魔法の力を授けたミーターいわく、「心に強い思いがあると魔法が使えるんだ」とのこと。その後「それがガラスのハート、魔法の源だよ」と続けるのですが、「強い思い」と言いながら、そこに脆いたとえに使われる「ガラスのハート」という相反するセリフを告げたのが気になるところです。
これは『マジカルエミ』で描かれた、「魔法とは自分自身の投影である」という自己探求のテーマをさらに深めたようにも感じられました。
また、空を飛ぼうとしたリリィが大量のヒヨコを降らせたり、緊張したルルが階段を迷路のようにしたりと、魔法を完全に制御できない演出も秀逸です。少女たちの「心の乱れ」が魔法に影響を及ぼす不完全さは、かつてマミやペルシャが経験した「魔法は万能ではない」という教訓を、令和の解釈でコミカルに描いているのかもしれません。
■懐かしさの中に、現代的な要素も詰まった最新作
ぴえろ魔法少女シリーズといえば、本物のアイドル歌手が主人公の声や主題歌などを担当したメディアミックス展開が有名です。しかし、本作のオープニング主題歌は、日韓ガールズグループ「ILLIT(アイリット)」が歌唱。
主人公の声は『ペルシャ』以来となる本職声優が起用され、リリィ(風)役の橘めいさん、ルル(流)役の小鹿なおさんが、それぞれの持ち歌(挿入歌)とエンディングテーマを担当しています。
他の声優に目を向けてみると、事務所社長の神立矢須王を杉田智和さん、物語の鍵となる魔法の国からやってきたミーターを「Hey!Say!JUMP」メンバーである八乙女光さんが担当。個人的には、八乙女さんのおっとりとした話し方が、ミーターにすごくマッチしているように感じました。
また姉妹の母親・野々山汐の声を、アニメ『ドラえもん』の野比のび太役で知られる大原めぐみさんが演じており、『ドラえもん』以外のテレビアニメシリーズの出演自体が珍しいため、驚いたファンも多いはず。
映像面は、「さすが令和のアニメ」とうならされるクオリティです。『ルルットリリィ』には、かつて『クリィミーマミ』の代名詞だった「パステルカラー」がふんだんに使われています。
特にリリィとルルのパステルカラーを基調としたステージ衣装は可愛らしくやわらかで、アクセサリーと衣装のエフェクトによって「パステルネオンカラー」に。ステージに立つアイドルの華やかさと、魔法少女のきらめきを見事に演出しています。
技術面では、バーチャルカメラ技術「ジャンヌ・ダルク」が導入され、モーションキャプチャーで生の演技がCG映像になり、それをもとにアニメ化されています。それにもかかわらず、CGっぽい不自然さは感じられず、しっかりアニメーションに落とし込まれているのが特徴です。
パッと見、懐かしいパステルカラーの魔法少女ですが、そこにはぴえろが取り入れた最新鋭の技術が隠れていました。
『魔法の姉妹ルルットリリィ』の世界は現代を描きながら、ミーターのような宇宙人が街になじんでおり、現実と非現実の存在が交差する不思議な世界観となっています。その独特のシュールさは、昭和のアニメでは珍しくなかったですが、令和の作品としては新鮮に思えます。
リリィ(風)とルル(流)は姉妹でありながら互いの正体を知らないため、姉であるルルが、妹のリリィに敬語を使うなど、視聴者だけが知りえる面白い関係性が楽しめます。そして昭和からのファンからすると、魔法少女と視聴者の「秘密の共有」に、何よりうれしさを覚えるのです。
分割2クールで放送される本作でどのようなドラマが待ち受けているのか、今後の展開にも期待したいと思います。


