■スタイリッシュに進化! ケンシロウの“解説役”もこなすバットの有能さ
物語において、ケンシロウと共に過酷な旅を続けるリンとバット。彼らの描かれ方もまた、時代とともに面白い変化を遂げている。
旧作アニメにおける2人は、子犬に水を与える心優しいリンや、ハーモニカを吹き鳴らして踊るバットなど、どこか『世界名作劇場』を彷彿させるほのぼのとした雰囲気を纏っていた。特に、お調子者のバットは寡黙なケンシロウに突っ込むシーンも多く、コメディリリーフとしての役割も担っていたのである。
対して新作アニメのバットとリンは、以前よりも少し大人っぽいスタイリッシュなビジュアルへと進化している。最新の映像技術により、シャギーの入った髪の毛の質感も見事に表現。特にバットの変化は著しく、寡黙でミステリアスなケンシロウの行動や意図を、視聴者に向けてわかりやすく謎解き・解説する「メンター(導き手)」としての有能さも見られる。
旧作のどこか憎めない少年としてのバットも魅力的だが、物語の奥深さを伝える新作のバットの頼もしさにも、ぜひ注目してほしい。
■感動は変わらない「ミスミの爺さん」エピソード…スピンオフ作品と併せて楽しみたい
新作アニメは、風になびくヘアスタイルの細かな動きや、破れた洋服の質感に至るまで、キャラクターたちの美麗な描写が目を引く。しかし、映像美がどれほど進化しようとも、この作品の根幹にある「人間ドラマの熱さ」は少しも色褪せていない。
その象徴とも言えるのが、新作アニメ第2話「今日より明日」で描かれた、種モミを命がけで守り抜いた「ミスミの爺さん」のエピソードだ。
スペードの一撃によって体を射貫かれるシーンは痛々しく、それでも「今日よりも明日…」と、未来への希望を託す彼の姿は屈指の名シーンである。新作の声優・浦山迅さんが熱演するミスミの姿を見れば、時代を超えて受け継がれる感動を再確認できるだろう。
そして、新作アニメをさらに深く味わうために、ぜひ併せて視聴してほしいのが、スピンオフ作品のアニメ『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』だ。かつてはケンシロウをはじめとした主役キャラに注目が集まっていたが、時が経つにつれて“哀れかつ面白い存在”として、ザコキャラたちは脚光を浴び、スピンオフ作品が制作されるまでに至った。
この『拳王軍ザコたちの挽歌』では、本編ではただケンシロウに倒されるだけだったザコキャラたちの視点から、彼らなりの悲哀に満ちた日常が描かれている。本編のシリアスな感動の裏で繰り広げられていた、彼らの涙ぐましい努力に思いを馳せながら新作アニメを観ると、本作の面白さは何倍にも膨れ上がる。
映像技術の進歩によって、よりスタイリッシュで大迫力に生まれ変わった新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』。表現の形は時代を超えてアップデートされたが、作品の持つ圧倒的な熱量や、命を懸けて生きる人間たちのドラマは不変である。
リアルに進化した爆発シーンに度肝を抜かれ、名曲のカバーに血をたぎらせ、不器用な登場人物たちの優しさに涙する。かつて作品に熱中した昭和キッズたちも、今初めてこの物語に触れる若い世代も、この「愛すべき進化」を遂げた世紀末の伝説を心ゆくまで堪能してほしい。
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