■圧倒的カリスマ 阿佐馬芳経の登場
最初は、凄まじい映像表現に目を奪われる本作だが、「クセの強いキャラクター」も物語をけん引する魅力のひとつだ。
1話の衝撃展開の後、第2話では舞台が大阪へと移り、新キャラクターの阿佐馬芳経(あさま・よしつね)が登場する。彼は武術に優れた自信家で、端正な顔立ちと、声優・福山潤さんによる小気味いい関西弁がPVで披露されており、放送前から多くの反響が集まっていた。
大阪のホテルで初めて青輝と邂逅した芳経は余裕たっぷりの態度で場を支配し、襲ってきた刺客を「邪魔するんやったら帰ってや~」と華麗な剣さばきで斬りつける。関西弁で飄々と圧倒したその姿に「さすがツネちゃんさん!」「色気やばいメロすぎる」と、魅了された視聴者の声が続出した。
ただ、そんな芳経も完璧なわけではなく、弁の立つ青輝に「はじめから憶測で話しすぎ」と正論で返されてイライラするシーンも。実力とナルシズム、人間臭さが漂う愛されキャラであり、この時点で「武の芳経」と「智の青輝」が対照的に描かれた。
また、亡き妻との約束を果たし、日本を再統一するという野望を抱く青輝は、どこか冷笑的な芳経に対し「本気でこの世を変える。媚びを売る必要があるならいくらでも売ってやる」と宣言。すると、それまで青輝を侮っていた者たちが気圧されるほどの熱が場を支配し、決意に満ちあふれる青輝の凛とした姿が印象的だった。
圧倒的な実力を持ちながらどこか憎めない、トリックスター的な魅力がある芳経の登場により、第1話の緊張感をいい意味で引きずらず、それでいて青輝の決意も再認識できる熱い展開に心を打たれた視聴者は多かったことだろう。
■重厚なドラマを彩る絶妙なユーモア
重めの展開や独創的なキャラクター、個性あふれる映像といった要素は、ときに見る人を選ぶ側面もある。それでも本作が多くの視聴者から好評を博しているのは、時折差し込まれる小ネタやパロディといったユーモアも理由のひとつだろう。
本作の舞台は近未来であり、我々が生きる現代の出来事は『日本三國』の中では過去のこととして扱われている。
たとえば第2話にて、関西人にもかかわらず東の言語を話していた芳経だが、その理由を「かつての知識階級は異国語を混ぜて話すことで尊敬を集めていたから」と語る。しかし、それに対し青輝は、「当時の人の中には、難しい横文字を使う人はイヤだという根強い反発もあった」と返して論破した。根拠なき論を振りかざす相手に青輝がカウンターパンチを繰り出す展開には、「上司に聞かせてやりたい」「それ、エビデンスあります?」と共感する声も多くあがった。
また、任用試験“登龍門”に臨むべく大阪・通天閣で、長蛇の列を前にした青輝は「ユニバとやらのテーマパークは、今よりもはるかに長い待ち時間じゃったそうです」と嬉々として語りだす。ザ・フライング・ダイナソーは760分、ミニオン・ハチャメチャ・ライド360分……とUSJの待ち時間を列挙し始めるのだが、本作の世界観だからこそ、こういった小ネタが輝く。このシリアスとユーモアの絶妙なバランスこそが、本作を単なるディストピアものにとどめない理由ともいえる。
世界観、映像、キャラクター性やユーモアなど、さまざまな面で唯一無二の存在感を放つ『日本三國』。対照的な才能を持つ青輝と芳経が、過酷な「登龍門」をいかに突破していくのか……今期最注目作の軌跡を最後まで見届けたい。
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