大ヒットマンガ編集者・林士平が教える「インプットの秘訣」と「エンタメに大事なこと」 『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』などを担当の画像
林士平 写真/河村正和

 『SPY×FAMILY』、『チェンソーマン』、『ダンダダン』などの大ヒット漫画編集者・林士平さんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『林士平のイナズマフラッシュ』の対談が1冊の本になった。俳優、脚本家、ドラマプロデューサーなど、多彩なゲストを招き、もの作りにまつわるトークを展開した『9人の「超個性」プロの新仕事論』。もの作りのトッププランナーたちが言葉で交わる瞬間をまとめた本書の魅力や、林さんが思うクリエイターとしての大事にしていることなど、たっぷりとうかがった。

 

――まず、ポッドキャスト番組『林士平のイナズマフラッシュ』の立ち上げられた経緯からお聞かせください。

 石井玄さん(ラジオプロデューサー)と、とあるビジネスイベントで一緒に登壇したとき、控え室でお話した際にお誘いを受けたのが最初です。ラジオで活躍されているプロデューサーが「できる」と言ってくださるのであれば、自分にもできるのかな、と思ってやってみようと思ったのがきっかけでしたね。

 月に1回、さまざまな業界で活躍されている方のバックグラウンドをしっかりとうかがうというのは、僕にとって何かの糧になっているなと感じているので、できれば今後も続けていきたいなと思っています。

――この『イナズマフラッシュ』の対談が『9人の「超個性」プロの新仕事論』としてまとまりました。収録されているのは、9名の方との対話。この皆さんとの対談を振り返って、印象的だった、予想外だった、というようなことはありましたか?

 皆さんが予想外の物語を語ってくれたので、どの方も印象的でした。例えば雑誌などですでにお話されているエピソードでも、深掘りして丁寧に聞けたので、そこが面白かったですね。予想外ということではなく、予想していたよりもたくさんのことを聞けた、という印象が強いです。

――確かに、雑誌などではどうしても細かな部分はカットしたりするものですけど、そこを丁寧に聞いていると感じました。

 ポッドキャストの配信は2時間×2本なので、収録は計4時間お話ししているんです。そうすると、かなりじっくりお話が聞けるので、面白いんですよね。ただ、収録が4時間っていうことがキャスティングの壁になったりすることもあるんですけど。

――スケジュール的に難しいということもあるでしょうね。

 お忙しい方に「4時間抑えてください」とお願いするのは、なかなか難しいんですよね。それが理由でキャスティングできない人もいると思います。それでも、各ジャンルのトップで活躍されている方にたくさん出ていただいてありがたいです。

――この本の前書きの部分で、ポッドキャストの音声で聞くのと、テキストとして読むのは捉え方が違うだろうと書かれていますが、林さんご自身、文字として読み返してみて感じたことはありましたか?

 何より思ったのは、プロの編集の方が絞ってしっかりまとめてくれているなということですね。ゲストお一人につき4時間かけて収録したものが本になるとこうなるんだ、と。僕自身は対談の時は、単純に僕の聞きたいことをたくさん聞こうと思っているので、なるべく自分の知りたいことを聞こうという思いでお話を聞いているんです。

 ゲラを読んだ時、ずいぶんとしっかりと丁寧に聞き込んだ上でまとめてくれているなと思いましたし、仕事論というまとめ方で、文字として読んだときに「こうなるんだ」という驚きはありました。何をピックアップするのが適切かということを編集の方が相当丁寧にやってくれたんだなと思います。

――前書きでは「もう一度読むことで新しい気づきが生まれたら」と書かれています。

 僕自身も気づきがあるんです。正直、喋ったけど忘れていることもありますので(笑)。一度話しているはずなのに、こうして文章として読むことで「そうなのか」という再発見。そうだ、こんなこと喋ったわ、っていう感じです。

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