原作とアニメで全然違う…ジャンプ黄金期に生まれた『NINKU-忍空-』の知られざる「最終回」10年越しに描かれた真の結末とは?の画像
『NINKU-忍空-』Blu-ray BOX 1(バンダイナムコフィルムワークス)(C)桐山光侍/集英社・ぴえろ

 1990年代前半の『週刊少年ジャンプ』(集英社)は、数々の怪物的なタイトルが連載されていた時代だ。その中で、桐山光侍さんが描いた『NINKUー忍空ー』は、ひときわ異彩を放つ作品だった。

 大きな目にぺろりと出した舌、そして後ろ前にキャップをかぶった少年・風助。その愛らしいビジュアルとは裏腹に、史上最強の武術「忍空」の使い手である彼の過酷な戦いを描いた本作は、ときに残酷ですらある人間ドラマで読者の心をつかんだ。

 当時テレビアニメ化もされ、手のひらで空気の塊を作って相手に叩きこむ必殺技「空圧拳」を、思わず真似してみた人も多いだろう。

 しかし実は、原作とアニメでは設定や結末が大きく異なる。今回は、それぞれの『忍空』がどのような結末にたどり着いたのか、その違いを振り返っていく。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

 

■未完のまま途切れた「ファーストステージ」「セカンドステージ」

 まず押さえておきたいのは、本作は「中断と再開」を繰り返す特異な歩みをたどっており、ひと言で“結末”を語ることが難しい作品であるという点だ。

 後に「ファーストステージ」と呼ばれる1993年からの初期連載は、大戦終結から間もない「EDO暦3年」が舞台。かつて世界を救った最強集団「忍空組」の1番隊隊長・風助が、再び戦乱の影に立ち向かっていく物語である。

 その主軸となったのは、風助ら「干支忍(えとにん)」と過激派残党「忍空狼(にんくうろう)」による「第二次忍空戦争」だ。宿敵・陽紅(ようこう)との壮絶な死闘を経て、忍空狼との戦いは一度終止符が打たれる。

 だが、物語はそこで終わらず、「コマンド・アーマー」や「五大老」といった新たな敵勢力が次々と登場。戦いはさらなる激化と広がりを見せるかに思われた。

 しかし、五大老の1人・氷刹(ひょうせつ)を倒したところで、物語は「中断」という形で唐突に幕を下ろすことになった。その急転直下な展開には、当時リアルタイムで本作を読んでいた幼い筆者も、激しく戸惑ったのを覚えている。

 その後、読切を挟んで再開された「セカンドステージ」は、風助と橙次の出会いから始まる前日譚であった。「夜叉連合」との戦いが描かれるなど、物語の核心に迫る展開が続いたが、短期間で再び連載は中断。さらに再開後もほどなくして3度目の中断を迎え、結局、漫画はファースト・セカンド合わせて全9巻のまま、未完の状態で長く時が止まることとなった。

■王道展開で描かれた「アニメ版」

 漫画が「セカンドステージ」を連載している最中、1995年1月、『幽☆遊☆白書』の後番組として放送が始まったテレビアニメ版。後に『ポケットモンスター』のサトシ役で国民的人気を得る松本梨香さんが、主人公・風助を演じていたことで思い出す人も多いのではないだろうか。

 アニメ版は原作をベースにしつつも、大胆に「アニメオリジナルの道」を突き進むことになった。

 このアニメの最大の特徴は、敵が誰なのかをはっきりさせた点にあるだろう。原作の複雑な残党争いに対し、アニメでは「帝国府」という敵組織を据え、さらわれた母を救うというシンプルな目的を軸に、物語は王道のバトルアクションへと再構築されたのだ。

 さらに、原作では仲間である元忍空組7番隊隊長「午忍」の黄純(きすみ)が、帝国府の軍師として立ちはだかるなど、キャラクターの配置もドラマチックに変更された。これにより、「友情・特訓・勝利」を掲げるジャンプ作品らしい熱さが、より前面に押し出されることとなった。

 物語は終盤、帝国府の中枢との決戦へと突入する。実質的なクライマックスとなる第50話では、宿敵コウチン大僧正との激闘の末、ついに帝国府を打倒。その後は各地を巡りながら無法者を懲らしめるオリジナルエピソードが続き、最終の第55話では映画撮影に巻き込まれるというユーモラスな展開で幕を閉じたのである。

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