■少女の夢をデフォルメした姿と、リアリティあふれるアイドルの姿
ミンメイとクリィミーマミのアニメ作品のアイドルとしての共通点をいろいろ紹介してきましたが、両者のキャラクターデザインは対照的ともいえるアプローチに思えました。
クリィミーマミを手がけた高田明美さんのキャラデザは、パステルカラーを中心にした柔らかな色彩と、絶妙なデフォルメ加減が特徴です。ふわふわしたパープルの髪や、星をちりばめたような瞳の描写は、当時の少女にとって理想的なアイドルであり、「魔法少女」のイメージそのものでした。
個人的には、今見ても秀逸に感じるマミのデザインは、現実のアイドルをイメージした「キラキラ」とした雰囲気を、アニメならではのアイコンとして見事に具現化したように思えます。
一方、『マクロス』の美樹本晴彦さんが生み出したミンメイのキャラデザは、愛らしいのに驚くほど写実的(リアリスティック)。繊細な毛束感、どこか憂いを含んだ瞳、物言いたげな唇など、当時の渋谷や原宿を本当に歩いていそうな、体温を感じさせる15歳の少女に見えました。
この「本当に実在しそう」なキャラだからこそ、特にテレビアニメ版のミンメイの等身大の言動に一喜一憂してしまい、単なるキャラクターを超えた女の子として感情移入してしまう視聴者が多かったのかもしれません。
アニメらしいデフォルメによって「少女たちの夢」を具現化したマミと、写実的なデザインによって「実在するかのような存在感」を示したミンメイ。こうしたビジュアル的な戦略の違いが、それぞれ「魔法少女」と「SFロボット」という異なる戦場における最強のアイドルに引き上げたのです。
昭和を生きたアニメファンからすると「リン・ミンメイ」と「クリィミーマミ」、そしてそれぞれの声を担当した「飯島真理さん」と「太田貴子さん」が特別な存在だったという人は少なくないでしょう。
時代は移り変わり、アイドルのかたちも多様化が進みましたが、だからこそ、いまだに紫色の髪の少女や、チャイナドレスでほほ笑む少女の残像を追い求めてしまうのかもしれません。



