■戦時下の癒しと日常の魔法――2人のアイドルの結末が意味したもの

 ミンメイとクリィミーマミはアイドルを軸に、それぞれのジャンルに則した味付けが加えられながらも、どこかアニメのキャラらしからぬリアリティが感じられました。

 ミンメイは、巨大要塞マクロス内に築かれた疑似市街地のミス・コン出場が転機となって、アイドル歌手に躍進。彼女の歌声は兵士の士気を鼓舞するだけでなく、文化を持たない未知なる敵すら震撼させる「究極の文化兵器」となり、彼女の存在自体が泥沼の戦時下における唯一の希望として輝きを放ちます。

 通常ならアイドルのサクセスストーリーで完結しそうなものですが、テレビ版の『超時空要塞マクロス』のミンメイが革新的だったのは、「人気が落ち着き、過去の人になっていく」という芸能界のシビアな現実まで描かれた点にあります。

 当時、画面の向こう側の彼女の扱いの変化を感じ取った視聴者は、アニメキャラのミンメイに対して「現実に存在するアイドル」のようなリアリティを感じたのです。

 対するクリィミーマミのデビューは、どこまでも鮮やかでセンセーショナルでした。10歳の少女・優が魔法でマミへと変身し、街でスカウトされて芸能界入り。一気にスターダムへと駆け上がっていく姿に憧れた視聴者は多いことでしょう。

 しかし、優がもらった魔法の力には1年間という期限があり、それまでの時間を劇中のキャラと同様に視聴者である我々も共有します。だからこそ、最終回のラストコンサートを迎えた時、現実のアイドルが引退した時のような喪失感に陥ったのです。

 1年でスパッと姿を消したクリィミーマミの潔さは、当時の神格化された現実世界のアイドルの引退にも重なる部分があり、もう二度と姿が見られないという、ある種リアルな感覚を体感しました。

 『マクロス』と『クリィミーマミ』という、まったく異なるジャンルの作品で活躍したアイドルながら、どちらの最後も説得力とリアリティが表現されていたのは不思議な共通点です。

 ちなみに当時のアニメ誌の読者投稿欄では、「クリィミーマミの完璧なかわいさ」を愛でるファンと、「ミンメイの天真爛漫な少女特有の危なっかしさ」に一喜一憂するファンが熱い議論を交わしていたのが印象的でした。

 今思えばあの頃のファンにとって、二人の存在は「虚像」の中から生まれた「現実」のように受けとめられていたのかもしれません。

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