可愛いだけじゃ終わらない…!? 異才・見里朝希監督が手掛ける春アニメのダークホース『キャンディーカリエス』の画像
アニメ『キャンディーカリエス』キービジュアル (C)Tomoki Misato/WIT STUDIO/トゥースフェアリーズ

 春アニメの放送が4月1日から続々と始まっている。今季は『転生したらスライムだった件』、『Dr.STONE』、『ようこそ実力至上主義の教室へ』、『Re:ゼロから始める異世界生活』といったビッグタイトルの続編が多いなか、ドラマが大ヒットした『LIAR GAME』の初のアニメ化や、『鋼の錬金術師』の作者である荒川弘さん原作の『黄泉のツガイ』など、新作にも大きな期待が寄せられている。

 そんな注目作が群雄割拠する中、ひときわ異彩を放っているのが、ストップモーションアニメ『キャンディーカリエス』だ。

 

■子どもと虫歯が繰り広げるドタバタコメディ

 本作は、4月15日から『よるのブランチ』(TBS/毎週水曜23時56分より)内にて放送開始。もともとは2021年3月にWIT STUDIOのYouTubeにて『Candy Caries』として公開された短編作品で、現在211万回以上再生されるなど、国内外で高い評価を得てきた。今回のテレビアニメ版では、オリジナル版からさらにキュートでポップに進化した世界観が楽しめるという。

 物語の主役は、甘いものが大好きな子ども・アメと、その口の中に住む虫歯のカリエス。ちょっぴり変わった2人が繰り広げる日常を描いたドタバタコメディだ。カリエスはアメのことを「ママ」と呼び、アメの歯を家具にしたり、時には身体を乗っ取ったりとやりたい放題。その奇想天外な行動から目が離せない。

 制作にはプラバンやアクリルが使用され、飴細工やガラスのような透明感を表現。レジンを盛った“ぷっくり感”も相まって、これまでのコマ撮りアニメにはない独特の質感が生まれている。また、声優陣も個性的だ。サブキャラクターには、謎解きクリエイターの松丸亮吾さん、俳優の片桐仁さん、タレントで女優の野呂佳代さんなど、様々なジャンルの著名人が起用されている。

 そして、この『キャンディーカリエス』で最も注目すべきポイントは、原作・監督を『PUI PUI モルカー』で知られる見里朝希さんが務めていることである。

 『PUI PUI モルカー』は、2021年からテレビ東京系『きんだーてれび』内で放送され、第2期も制作されたストップモーションアニメ。羊毛フェルトで作られたモルモットの車・モルカーの日常を描き、「癒される」と老若男女問わず幅広い層から愛された。名作映画のオマージュなども盛り込まれ、セリフがない分考察のしがいがあると毎回放送のたびに話題を集めていた。

 見里さんは他にNetflixシリーズ『My Melody&Kuromi』も手がけており、かわいい作品作りに定評がある。しかし、彼の作家性はそれだけにとどまらない。そのことを示すのが、過去に制作した衝撃的なパペットアニメ『マイリトルゴート』だ。

 本作は、見里さんが大学院の修了制作として発表した約10分の短編作品であり、グリム童話『オオカミと7匹の子ヤギ』に着想を得て制作された。劇場公開もされ、第24回学生CGコンテストでのアート部門、エンターテインメント部門最優秀賞のダブル受賞をはじめ、国内外で数多くの賞を受賞した知る人ぞ知る作品である。

 本作はパペットアニメならではの柔らかな質感とは裏腹に、終始暗いトーンで展開され、不気味でダークな雰囲気が漂う。グロテスクな表現も含まれており、特に前半の赤黒い色調が印象的だ。

 物語は、狼に食われかけたボロボロの子ヤギたちが暮らす家に、死んだ子ヤギの代わりとして人間の少年が連れてこられるところから始まる。短いながらも、親から子への性的虐待を匂わせるシーンや、子ヤギたちと少年の間に芽生える奇妙な絆が描かれ、なんとも妙な後味の残る作品だ。

 かわいさを前面に押し出した『PUI PUI モルカー』とはまったく異なる印象を与える本作。現在、見里さんのYouTubeチャンネルでも公開されているので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。

 

 さて、『キャンディーカリエス』について、見里さんは自身のX(旧Twitter)公式アカウントで「可愛いだけでは終わらない」と発言している。『マイリトルゴート』の例もある上、冷静に考えれば主人公と虫歯の結末がハッピーなものになるとは考えにくいが……? 『PUI PUI モルカー』のように、考察が捗る作品になる可能性も大いにあるので、春アニメのダークホースとして旋風を巻き起こすことを期待せずにはいられない。

 

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