3月21日、許斐剛氏による人気漫画『新テニスの王子様』の連載が、完結まで「残り5回」となることが発表された。
1999年に連載が開始された『テニスの王子様』から続く長期シリーズが、ついに大詰めを迎えるというニュースは、ファンを中心に各方面で大きな話題を呼んだ。そんな中、あらためて注目を集めているのが、作中で描かれてきた“スポーツの概念を遥かに超越した”必殺技の数々だ。
連載当初こそ、ツイストサーブやダンクスマッシュといった、実在する技術をベースにした技が中心だった。しかし、物語が進むにつれてその描写は激しさを増し、続編である『新テニスの王子様』では、もはやテニスを題材にした異能力バトル漫画と評されるほどに変貌を遂げた。
作中に登場するトンデモ技は、ブラックホール、分身、忍術、憑依、時間停止、透明化、睡眠状態でのプレーなど、枚挙にいとまがない。今回は、その中でも特に人知を超えた異次元の必殺技を4つ紹介していきたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■ボールを遠隔操作!?
まず挙げたいのは、立海大附属中学校の真田弦一郎が見せた「黒龍三重の斬」である。
打球が曲がる描写は本作において基礎的な技術ではあるが、この技は、返球後に再度スイングすることでボールの軌道を変化させる。
相手が反応した瞬間に軌道を変えるその様は、まさに「後出しジャンケン」のような状態。物理的な視点でとらえれば、ボールに細工するか、外的要因がない限り不可能な挙動であり、対戦相手が予測しがたい強力な技だ。当初は1回のみ軌道を変える「黒龍一重の斬」だったが、物語の進行とともに進化を遂げ、最終的に真田は3回曲げる「黒龍三重の斬」の習得に至った。
次に、ドイツ代表の主将ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルクが披露した「螺旋の洗礼(シュピラーレタオフェ)」は、精神干渉系の技の極致といえよう。
この技は、ボルクの圧倒的な強さにショックを受けた対戦相手が、自己防衛機能として試合の記憶を失い、自分が劣勢であることすら認識できなくなるというもの。作中では、最強クラスの実力を誇る平等院鳳凰が、試合開始直後の“挨拶代わり”の技を何度も放つという、地獄のようなループにはまり込んでいた。
本人は異常事態に陥っている自覚がないため、突破口を見出すことすら困難という極めて凶悪な能力である。ボルクはこれ以外にも、コート上に複数の竜巻を発生させる「無限の竜巻(ウンエントリヒヴィントホーゼ)」といった、もはや破壊兵器とでも呼ぶべき技も保持しており、「世界最強の現役プロ」としての底知れなさを象徴している。
■有名なセリフが飛び出した技も…
また、ドイツ代表のダンクマール・シュナイダーは、自身の姿を巨人のように大きくする「巨像(ギガント)」の使い手だ。作者によれば、これは実際に巨人化しているわけではなくイメージ描写とのことだが、それにしても衝撃の光景である。
作中でこの技が登場した際の「デカ過ぎんだろ…」というセリフは、作品に詳しくない層にも知れ渡っているほどで、本作のトンデモ技の中でも特にインパクト絶大だ。箸休め回的な「新焼肉の王子様~ワールドミッション~」でも、巨大化した状態でヘリコプターを素手でつかむ描写があり、その姿は怪獣映画さながらだった。
最後に、主人公・越前リョーマの“兄”である越前リョーガが持つ「能力剥奪」は、競技の根幹を揺るがすものである。これは対戦相手の能力をコピーするだけでなく、相手にその技術を二度と使えなくさせるという、本作の世界観においては「引退宣告」に等しい究極の技だ。
努力して積み上げた必殺技を、たった一度の試合で根こそぎ奪われる不条理さは計り知れない。しかも、この能力はリョーガの意思と関係なく発動してしまうという。ゆえにリョーガ本人が孤独を抱える原因にもなっており、彼は最強かつ最も過酷な能力を持つ“ラスボス”として位置づけられている。
『新テニスの王子様』が歩んできた道は、常にファンの予想を超えるエンターテインメントの追求であった。
物語が完結へと向かう中、リョーマたちが最後にどのような境地へたどり着くのか。残されたエピソードで、さらなる衝撃的な展開が待ち受けているのは間違いなく、最終回でこれまでの集大成となるような“究極技”が登場することを期待せずにはいられない。


