「少ない容量だからこそ切なかった」ファミコンRPGの“泣ける名エンディング”『MOTHER』『ドラクエ4』『FF3』…の画像
ファミコンソフト『MOTHER』(任天堂)

 1983年に任天堂から家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」が発売されて以降、数々の名作RPGが生まれてきた。最初はほとんど何も持っていないような主人公が、冒険の途中でお金やアイテムを集め、敵を倒してレベルを上げ、少ない情報から世界の謎を暴き、ラスボスに向かっていく。ファミコンというハードでできる表現は限られていたものの、当時は少ない容量で作られていたとはいっさい感じないほど、その壮大な物語に魅了されたものだ。

 たとえば、初代『ドラゴンクエスト』の容量はわずか64KBであり、今のスマホで撮影する写真1枚の容量に遠く及ばない。当時のゲーム開発者たちの苦労がしのばれるが、そんな容量の小さいゲームで奮闘の末にラスボスを倒し、ようやくエンディング拝めた時の感動は、今の大容量のゲームをクリアした時とそう変わらないものに思える。

 今回はそういったファミコン時代のRPGの名エンディングを振り返っていこう。

 

※本記事には各作品の核心部分の内容を含みます。

■“母”が残したメロディーをバックにした『MOTHER』

 ファミコン時代の感動のエンディングとして、個人的に真っ先に思い浮かぶのが、『MOTHER』(1989年、任天堂)である。

 これについて語るには、まずラスボスであるギーグとの戦いから触れなければならないだろう。

 ギーグは、主人公の曾祖父ジョージとその妻マリアに育てられた宇宙人だ。終始正体がつかめない攻撃を繰り返し、こちらがいくらダメージを与えても意味がない。

 諦めかけたところでコマンドに「うたう」が現れ、これを選択すると主人公たちがこれまでに集めたメロディーで歌を歌い始める。実はこれは、マリアがギーグに歌って聞かせていたメロディーであり、地球を支配しようとするギーグの心に訴えかけるものであった。

 この時、「うたをやめろ」と口にするギーグを尻目に歌い続けると、ギーグを倒すことができる。

 歌でラスボスを倒すというこれまでにない結末に若干のとまどいを覚えつつも、ゲームはそのままエンディングを迎える。

 エンディングは、そのメロディーを基調とした優しいBGMをバックに、スタッフロールが流れるという実にシンプルなもの。しかしだからこそ、これまでの冒険の苦労(特にラストダンジョンのホーリーローリーマウンテンは強敵揃いなので心が折れかけたプレイヤーも多いだろう)を、感慨深く振り返る時間となった。

 そしてスタッフロールの最後に現れる自分の名前に、またグッとくるのである。

 本作の生みの親・糸井重里氏による当時のキャッチコピーが、「エンディングまで、泣くんじゃない。」だったが、まさにこの瞬間にウルッときた人も多いのではないだろうか。

 プレイヤーに「自分の手で物語を紡ぎあげた」という達成感を与えてくれるこのエンディングは、糸井さんならではのニクい演出だった。

■別れと再会が詰まった至高のラスト『ドラゴンクエスト4』

 続いては、『ドラゴンクエスト』シリーズのファミコンでの最終作となった『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(1990年、エニックス)である。

 本作はシリーズでも珍しい章立てで物語が構成されており、1章から4章まで別々の主人公の物語が展開された後、それらが第5章の主人公・勇者の物語につながっていく。

 こうして集結した個性豊かな仲間たちとともに、勇者はラスボスのピサロとの戦いに臨むことになる。

 勇者はもともと山奥の村で平和に暮らしていたが、魔族の王・ピサロの襲撃によって村は破壊され、幼なじみのシンシアも命を落としてしまう。つまりピサロとの戦いは、彼にとって敵討ちの戦いでもあったのだ。

 やがて最終決戦を終えると、目的を達成した仲間たちは、エンディングでそれぞれの故郷へと帰っていく。

 勇者との別れのシーンはセリフも何もなく、ドット絵のキャラが動くだけというシンプルなもの。しかし、それだけに「このシーンでは、こんな会話が交わされているのでは」と想像を膨らませることができた。

 そしてすべての仲間を見送り、勇者は1人で廃墟と化した山奥の村へ戻る。そう、序盤でピサロに故郷を滅ぼされた彼には帰る場所がなかったのだ。

 だが勇者がかつて花畑のあった場所にやってくると、不思議な力が働いて、彼の周りに花が咲き乱れる。さらに、そこに死んだはずのシンシアも姿を現し、2人は抱擁を交わすのだ。本当にシンシアが生き返ったのか、それとも幻だったのかは解釈の分かれるところだが、筆者としては前者を推したいところである。

 不幸なシーンからスタートした勇者に、最後幸せが訪れたのを見て、「ゲームをクリアしてよかった」と心から感動した瞬間だった。

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