バトル漫画やアニメにおいて、圧倒的な強さを誇るキャラクターは、読者や視聴者を魅了する存在だ。しかし、そんな強者たちが、物語の脇役であるモブキャラクターに敗北するという、まさかの展開が描かれることもある。
油断、不意打ち、あるいは予想外の手段によって、強キャラが信じられない形で屈する瞬間は、読者に強烈な衝撃を与えるものである。
今回は、そんな「まさか」の展開で強キャラに一矢報いたモブキャラたちを振り返っていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■地上最強の生物を押さえこんだまさかの伏兵『グラップラー刃牙』無名のハンターたち
1991年に『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載開始された、板垣恵介さんの『グラップラー刃牙』。格闘漫画の金字塔として今なお多くのファンを魅了し続けている作品だ。2026年2月からは新アニメ『刃牙道』の放送が始まり、シリーズはますます盛り上がりを見せている。
本作には人間離れした強さを持つファイターが多数登場するが、その頂点に君臨し続けているのが、主人公・範馬刃牙の実父である範馬勇次郎だろう。
「地上最強の生物」と謳われる存在で、作中を通して他のキャラクターたちとは一線を画した、異次元の強さを見せつけ続けている。
人間はもちろん、猛獣や兵器まで相手取り、幾度となく勝利をもぎ取り続けてきた勇次郎。そんな彼が思いもよらぬ敗北を喫してしまったのが、「最大トーナメント編」での一幕である。
おとなしく試合を観戦していた勇次郎だったが、自身が推薦した天内悠の不甲斐なさに激怒し、突如試合場に乱入してしまう。さらには試合敗退者を集めて次々に蹴散らし、ついには息子・刃牙らまでもが立ちはだかる事態となった。
激突は必至かと思われた束の間、突如、会場に一発の銃声が鳴り響いた。実は万が一の事態に備え、観客席には麻酔銃を携えた男たちが数名、待機していたのである。
その後、勇次郎は捕獲網で動きを封じられ、四方から麻酔弾の集中砲火を浴びせられたことで昏倒してしまうのだ。
これまで数多の猛者を屠ってきた勇次郎が、名もなきライフル使いたちによって倒れる場面を想像できた読者は少なかったのではないだろうか。予期せぬ敗北ではあったが、それでも猛獣用の麻酔に最後まで耐え、抗おうとしたその姿からは、彼の人間離れした耐久力と獰猛さを感じざるをえない。
■使えるものはすべて使う、卑劣すぎる一手『ドラゴンボール』フリーザ軍兵士・ソルベ
1984年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載開始された鳥山明さんの『ドラゴンボール』は、今なお新たなシリーズ作品が展開され続けている伝説的なバトル漫画だ。
本作には凄まじい強さを誇るキャラクターが多数登場するが、なかでも数々の激闘を乗り越え成長し続けているのが、主人公・孫悟空だろう。特に「超サイヤ人」の力に目覚めてからは次々と新たな力に覚醒し、その強さはとどまるところを知らない。
まさに向かうところ敵なしの悟空であるが、彼が意外な形でピンチに陥ったのが、映画『ドラゴンボールN 復活の「F」』での一幕である。
本作では、原作でも激闘を繰り広げた悪の帝王・フリーザが復活を遂げ、さらなる力を身につけて悟空らの前に立ちはだかる。進化を遂げた「ゴールデンフリーザ」の力に対し、悟空もまた新たに身につけた「超サイヤ人ゴッド超サイヤ人」の力によって対抗していく。
激しい戦いが繰り広げられたが、フリーザは新たな力に慣れておらず、スタミナを消耗したことで劣勢に立たされてしまう。
万事休すかと思われたフリーザだったが、彼が目配せをした先にいた部下が、ここで思わぬ行動に出る。なんと、岩陰に隠れていた部下・ソルベが光線を放ち、悟空の胸部を狙撃したのだ。
実はこれも、フリーザが万が一の事態に備え仕込んでいた、奥の手の一つだった。この一撃が致命傷となり、悟空はその場に倒れ込み、形勢は一気に逆転。最終的にはベジータによってなんとかフリーザは食い止められるものの、数々の猛者に打ち勝ってきた悟空が、不意打ちとはいえ一般兵の銃撃で倒れるシーンはなんとも衝撃だった。
これまでも冷徹な一面を見せてきたフリーザだが、利用できるものは何でも利用して勝利をもぎ取ろうとする姿はまさに悪の帝王そのもの。彼の卑劣な一面が、これでもかと表現されたワンシーンだろう。


