赤カブトを倒して終わりじゃない!?『銀牙-流れ星 銀-』意外と知らない「最終回&その後」銀からウィード、オリオンと続く「奥羽軍」の壮大な血脈の画像
銀牙-流れ星 銀-コンプリートDVD(初回生産限定)(東映ビデオ)(C)高橋よしひろ/集英社・東映アニメーション

 1983年から1987年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、高橋よしひろ氏による大ヒット漫画『銀牙ー流れ星 銀ー』。

 本作は、猟師の老人・竹田五兵衛に鍛えられた虎毛の秋田犬「銀」が、祖父・シロ、父・リキを倒した凶悪な巨大熊「赤カブト」を討伐するために奮闘する物語だ。全国から集まった強犬たちと奥羽軍を結成し、敵対する犬たちや赤カブトと死闘を繰り広げるのである。

 犬たちが人間のように言葉を交わし、熱い友情と努力によって強敵に立ち向かう姿は、当時の多くの読者を夢中にさせた。

 本作のアニメ版は赤カブトの討伐をもって終了しているため、“赤カブトを倒して完結”と思っている人も少なくないかもしれない。だが実は、原作漫画にはその先の展開があり、さらには現代に至るまで壮大なスケールで続編が描き継がれているのである。

 今回は漫画『銀牙』における最終回と、その後の壮大な展開について紹介したい。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

 

■最大のクライマックス! 多くの犠牲を伴った「赤カブト編」を振り返る

 まずは、多くの読者の記憶に焼きついているであろう物語の最大の山場である「赤カブト戦」を振り返ろう。

 銀の父であり奥羽軍の総大将であるリキは、赤カブト討伐のために、銀たちに全国から戦士を集めるよう命じる。甲斐の魔犬三兄弟や伊賀忍犬の赤目、宇和島の海坊主・紅桜といった猛犬たちが続々と集結していく展開は、読者をワクワクさせた。

 そして迎えた赤カブトとの最終決戦。犬たちの何倍もの巨体を誇る赤カブトの力は凄まじく「わずか数分で二百あまりの兵士の血をすいこんでいた」と語られるほど被害は拡大。紅桜や中虎といった頼もしい仲間たちも、次々と命を落としていく。

 死闘の末、猟師の五兵衛が駆けつけて猟銃で撃ったことで、ついに赤カブトは倒れる。犬たちは勝利を確信し、泣きながら朝日に向かって雄叫びをあげるのだった。

 しかし、それも束の間「たったいま死んだはずの赤カブトがよみがえったのだ」というナレーションと共に悪夢が再来。油断した五兵衛を庇ったリキは瀕死の重傷を負い、執念のみで動く赤カブトは犬たちの一斉攻撃にも痛みを感じることなく襲いかかる。

 その直後、死の間際のリキから必殺技「絶 天狼抜刀牙」を伝授された銀が、赤カブトに真正面から挑み、見事にその首を切り落として完全決着をつける。

 壮絶な犠牲を経て正義の王者となった銀だが、これほどの死闘を繰り広げてもまだ“満1歳”である事実には驚かされる。アニメ版はこの勝利をもって幕を閉じるため、ここで物語が完結したと記憶している人も多いはずだ。

■次の敵は狼の帝国!? 予想外の展開を見せた「八犬士編」と本当の結末

 漫画では赤カブト討伐後、息つく暇もなく新たな戦いが始まる。それが、アニメでは描かれなかった「八犬士編」だ。

 大技の「絶 天狼抜刀牙」で赤カブトを倒した銀だったが、父であるリキは死の間際、「その技は二度と使ってはいけない」「技を使うことを知られれば、悪魔どもがお前を迎えにくる」という不気味な言葉を遺す。

 その言葉通り、後日、銀たちの前に突如として謎の狼軍団が現れる。彼らはベンの妻・クロスを拉致し、銀たちを自分たちの軍団に引き込もうと画策する。実は、銀の必殺技「絶・天狼抜刀牙」は、もともと狼たちに伝わる伝説の「八犬士」のみが使える奥義だったのだ。

 ここから物語は、不思議な術を駆使する狼たちとのファンタジーバトルへと一気にスケールアップする。地下帝国を支配する狼軍の皇帝・ガイアを倒すため、銀はベンや赤目、黒虎といったおなじみのメンバーの仲間と共に、再び戦いに身を投じる。

 激闘の末にガイアを打ち倒し、狼帝国を壊滅させた銀たち。戦いを終えた奥羽軍は、生き残った狼たちと共に平和を取り戻した奥羽の地で生きることを誓う。そして、かつてリキや銀を育てた猟師・五兵衛の最期を看取ったところで、『銀牙ー流れ星 銀ー』は本当の完結を迎えるのである。

 熊の次は狼と、次々に立ちはだかる強敵たち。しかし『銀牙』の最大の魅力は、死闘を繰り広げた強敵が、やがて熱い絆で結ばれた仲間になる展開にある。最初は憎かった敵も、戦いを終えれば頼もしい味方になる。そんな王道かつ胸を打つドラマが、当時の読者を大いに惹きつけたのである。

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