テレビアニメ『プリキュア』シリーズの通算23作目の最新作『名探偵プリキュア!』が2月より放送されている。
略して『たんプリ』と呼ばれる今作のモチーフは、ズバリ「探偵」。『プリキュア』シリーズが誇る20年以上の歴史の中では、ファッション、花、子育て、お菓子など女の子が好きなものがテーマに扱われてきた。だが「探偵」というモチーフは、おもしろい狙いに感じられる。
ここ数年のプリキュアは、これまでになかった斬新なモチーフやテーマを扱うことが多く、その挑戦の姿勢が大人の視聴者の間でも話題を集めてきた。
2023年に放送された、記念すべき20作目『ひろがるスカイ!プリキュア』では「ヒーロー」がモチーフになり、初めてメインのプリキュアのイメージカラーが青色となったことでも話題を呼んだ。ほかにも、レギュラーのメインキャラとして男子のプリキュアや成人女性のプリキュアが登場するなど、記念作として存在感を示した印象的な作品になった。
2024年の『わんだふるぷりきゅあ!』はペットの犬・こむぎと、その飼い主・いろはが主人公。こむぎは人間と化してプリキュアに変身する。作中では、同じ街に住む人のペットとの死別が描かれたり、いろはに彼氏ができたりと、衝撃展開の連続で目が離せない作品だった。
また2025年放送の『キミとアイドルプリキュア♪』はアイドルを題材にした作品。アイドルという女子が好きそうなテーマながら、この作品で初めて選ばれたテーマだったのも少々意外である。
このように20年以上続くシリーズ作品でありながらも、毎回新鮮な作風で視聴者を驚かせてきたのが『プリキュア』だといえる。
■骨太探偵ものとなった『たんプリ』
今回の『たんプリ』では探偵を題材にするとともに、過去へのタイムスリップも大事な要素となっている。主人公の明智あんなは2027年のマコトミライタウンに暮らしていたが、1999年にタイムスリップしてしまい、そこで生活する小林みくると出会ったことで、キュアット探偵事務所で暮らすこととなる。
よって、作中の舞台は常に1999年。登場人物の持つ携帯電話がPHSだったり、「チョベリバ」のような当時の流行語を使ったりと、随所に懐かしい要素や平成の空気感が散りばめられている。大人にはノスタルジックな気分が堪能でき、子どもの目には新鮮な世界に映ることだろう。
また、子ども向けの作品とはいえ、探偵ものとしてもしっかり成立している印象だ。まず、登場人物の名前が往年の探偵小説からつけられているのは一目瞭然。明智あんなは江戸川乱歩の作品に登場する明智小五郎が元ネタだろう。小林みくるは江戸川乱歩の小説『少年探偵団』の小林少年、プリキュアでありながら敵組織の怪盗団ファントムに所属している森亜るるかは、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』のジェームズ・モリアーティがモデルだろうか。
本編ストーリーではティアラが紛失したり、バッグの中身の漫画原稿がなくなってしまう事件が起こったりと、実際に推理をして犯人探しをする描写もある。登場人物のちょっとした発言が犯人を見つけるヒントになっており、テレビを見ながらキャラと一緒に推理できる仕様だ。なお、犯人はたいてい怪盗団ファントムの怪盗が変装した者である。
今後どのような事件が発生するのか注目なうえ、みくるが過去に飛ばされた理由なども気になる。先の展開がまったく読めないところも今作の魅力かもしれない。


