■無謀な策を採用し、自身のプライドで多くの将兵を死なせた「ラザール・ロボス」

 続いては、ラザール・ロボス元帥を紹介したい。彼は同盟軍の宇宙艦隊司令長官で、帝国侵攻作戦に投入された全8個艦隊を統率する総司令官であった。

 同盟滅亡の大きな原因の1つである無謀な帝国侵攻作戦を立案したのが作戦参謀のフォークなら、実戦面において火に油を注いでしまったのが総司令官のロボスといえるだろう。

 そもそも彼がフォークを重用し、作戦立案を丸投げしなければ、あのような大惨敗は防げたはず。フォークの才能を買いかぶり、同盟軍に致命的な打撃を与えたというだけでも、宇宙艦隊司令長官として最悪の評価を下されても仕方ないだろう。

 また、帝国侵攻作戦中のロボスの行動も、多くの読者を呆れさせた。帝国領に侵攻した同盟軍を待っていたのは、帝国軍がしかけた狡猾なワナだった。状況が刻一刻と悪化していく中、業を煮やしたビュコック提督は早めの撤退を進言しようとする。

 だが面会に訪れるとロボスは不在で、参謀のグリーンヒルから「昼寝中です。敵襲以外は起こすなとのことです」と衝撃の事実が伝えられる。これにはビュコックも呆れ返ってしまうのである。

 もちろん大軍を預かる総司令官である以上、休息は必要だろう。一応「敵襲以外は起こすな」と指示していたので、総司令部はビュコックの面会を深刻な内容と受け取らなかった可能性も考えられる。だが、このときビュコックから各艦隊の現状を知らされ、撤退の判断ができていれば結果は大きく違ったことだろう。

 そして帝国軍の反転攻撃により同盟軍の劣勢が確定した段階で、各提督から撤退要請があったにもかかわらず、ロボスは「このままでは終われない」とアムリッツァ星系に艦隊を集結させた。

 このロボスの判断が陣営の被害をさらに拡大させ、自由惑星同盟にとって致命的なダメージとなってしまったのである。

 軍部のナンバー2にまでのし上がったロボスは、かつては提督としてもそれなりの能力を有していたと思われる。しかし、軍のライバルであるシドニー・シトレと張り合った挙げ句、反対を押し切って無謀な侵攻作戦に臨み、自身のプライドのために多くの将兵を失って国を傾かせた罪は大きいといわざるを得ない。

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