互いに孤独を埋め合うように出会った“妖怪”と“人間”の関わり合いを軸に、“親子の愛と絆”を描くミュージカル『どろんぱ』に出演する生駒里奈さん。初のミュージカル挑戦に戸惑いながらも、自身にとってのトラウマだと語る、“歌”に向き合う決意を固めたといいます。
幼少期から漫画やアニメを愛してきた生駒さんに、初のミュージカルという大きな挑戦と、原作やキャラクターへの向き合い方、座敷童子わらし役に込める生駒里奈さんの覚悟をお聞きしました。
【第1回/全2回】
■初ミュージカルへの挑戦「見る目がありますね」
――ミュージカル『どろんぱ』が、3月から東京公演を皮切りにスタートします。オファーを受けた際の率直な気持ちをお聞かせください。
生駒里奈さん(以下、生駒) 初めてのミュージカル作品でしたし「いやいや無理でしょ」みたいな感じでした(笑)。でも「やってみたい」という気持ちはどこかにあったんですよね。
いろいろな仕事でトラウマを克服してきましたけど、自分にとっての最後のトラウマが「歌」だと思っていて、ここで乗り越えられるかな、という気持ちはありました。しかも、これだけ大規模なものなので、大変そうだなと……。ですが、「ぜひやってみませんか?」と言っていただいたので、「いいんですね?」と、なかば念押しした形でお受けしました(笑)。自分にとって、歌は越えたい壁でもあるので、頑張りたいと思うんですけど、まだまだ不安は大きいですね。
――今回生駒さんが演じるのは「座敷童子」という役柄です。
生駒 前に「生駒ちゃんって座敷童子っぽいよね」と言われたことがあって、自分的には違和感はなかったです。明るい感じで、家に帰ったらいる犬みたいな感じで癒される、という意味でとらえているので「座敷童子みたい」は褒め言葉だと思っています。
昔から妖怪も好きで、自分が一番なれそうな妖怪が座敷童子かな、とは思っています。だから「見る目がありますね」と思いました(笑)。
――ビジュアル撮影で衣装も着られたと思うのですが、感触はどうでしたか?
生駒 私の好きな『鬼灯の冷徹』っていう漫画の座敷童子に似た感じもちょっとあって、うれしかったですね。今回はいろんな立ち回りがあるので、どうやって、この着物で動こうかなと考えていました。稽古していきながらもっと座敷童子を深めていきたいなと思っています。
――座敷童子のキャラクター像とその魅力はどう捉えていますか?
生駒 座敷童子は東北岩手の妖怪でけっこう強いんですよ。戦闘能力的には強くないんですけど、その家の家主の行いによって福をもたらすか不幸をもたらすかというところが、すごく魅力的な部分だと思います。福の神とも言われていて、神様に近い存在なんです。
――生駒さん、妖怪にお詳しいですね。
生駒 小さい頃から水木しげる先生の妖怪大百科を弟と一緒にずっと読んでいたので、それが理由かもしれないです。『妖怪大戦争』みたいに、妖怪が登場する作品も観ていましたし、伊藤潤二さんの怪談や、丸尾末広先生のようなダークな世界観も好きでした。日常にありそうでない存在が昔から好きで、自然と詳しくなりましたね。
――今の段階で、どのように演じられればと思っていますか?
生駒 座敷童子は子どもっぽく描かれることが多いんですけど、妖怪なので、ずっと生きていて人間より年を取っているんですよね。元は人間だったけど、間引きされた子どもの魂が座敷童子になったという説もあって、見た目は子どもだけどずっと生きているおじいちゃんおばあちゃんみたいな存在として、人間のために優しさをもたらせる存在。達観しているけど、子どものときに命を失っている……という複雑さを持っているので、お客さんにもその魅力を感じてもらえたら楽しいんじゃないかなと思っています。
――キャラクターがどう動き出すのか、どう演じられるのか、楽しみです。
生駒 今回は脚本をしっかり指標としつつ、それに合った座敷童子を作りたいと思います。こういう存在はオタクがたくさんいて、それぞれのこだわりポイントがあると思う一方、誰のものでもない存在なので、見せ方にもいろんな可能性があると思っています。観たお客さんや妖怪が好きなお客さんに「こういう座敷童子もありだよね」と楽しんでもらえるような演技を大切にしていきたいです


