■松島聡が田端を演じることで生じるパワー
本当に嫌いだ。俺が一番嫌いなタイプの男だ。だが、ひとつだけ問題がある。
これを演じているのが、
松・島・聡
強すぎる……この事実だけで、田端がどんなにクソ野郎でも、そのクソさをオブラートで包んでしまう。いやオブラートどころの騒ぎではない。まるで、いっさい間違ってることは言ってないかのように、分厚い分厚い鎧で覆い隠してしまうのだ。
「なんか言ってることめちゃくちゃだけど好き……」
田端には、そしてそれを演じる松島聡には、そう思わせてしまう圧倒的な魅力がある。話してると眠くなりそうなゆっくりとした喋り声、まるでお姫様を見るかのような眼差しで相手を見るその垂れ目、幼い子供のようなくしゃっとした笑い顔、私は同性だが語弊を恐れずに言わせてもらいたい。
「こんなもん好きにならないわけがない」
文菜は出会った頃、田端のことは嫌いだったと会話の中であったが、私から言わせてもらえば、その時点でもはや「好き」でしょうが。田端みたいなタイプを「なんだこいつ」と気になった時点で文菜の負けなのだ。抗えない魅力、いや魔力みたいなものが田端の全身から漏れ出ている。恐ろしい。こんな男を生み出してしまう松島聡が、そして脚本の今泉力哉が、私は本当に恐ろしい。
田端は最後に文菜にこう告げる。
「俺は相手が自分のことを好きだからという理由で人を好きになることはないかな……両想いは結果でさ……そのために人を好きになることはないよ……だから自分の中の好きが消えるまでは……うん……ずっと1人でいいかな……それがたとえ一生続いたとしてもね…」
うるせエエエエエエエエエ!!!!!!
だったら身体的な関係なんか持たないで一生一人でいろや。欲求だけは一丁前にあんのかよ。としか思わないのだが、文菜をちゃんと「振る」あたりは、他のプレイボーイよりも幾分は誠実なのだろう。
だがこの田端が原因で文菜は「本気で誰かを好きになること」がある種のトラウマになってしまう。その心の傷を癒すのは誰なのか。ゆきおなのか、山田なのか、はたまた小太郎なのか、誰でもいい。誰か文菜を救ってくれ……。たのみました……ジョーさん……(店長)。
■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。


