■達人同士の名勝負!渋川剛気vs愚地独歩

 達人対決として注目されたのが、渋川剛気と愚地独歩の一戦だろう。この試合は、本当に最後までどちらが勝つか予想できなかった。

 独歩は空手に一生を捧げた猛者で、範馬勇次郎と対等に話ができる数少ないキャラだ。対する剛気は、「最大トーナメント編」で初登場した小柄な老人。合気柔術の達人だというが、一見したところ噛ませ犬のようにしか見えなかった……。

 しかし、いざ試合が始まると、読者の多くが驚かされたことだろう。剛気に独歩の攻撃はまるで当たらず、まるで子ども扱いされてしまうのだ。

 追い詰められた独歩は、切り札である“菩薩の拳”による正拳を食らわせ、五分の状況に持ち込む。そして最後の一撃勝負となり、剛気が独歩の正拳を完全に見切って勝利をおさめた。

 作中屈指の実力を誇る独歩を手玉に取る姿は、剛気の強さを伝えるには十分なものだった。達人同士だからこその勝負の駆け引きやタイミングは、他の試合にない独特の緊張感を醸し出している。もう一度戦ったらどうなるのかも気になるところだ。

■こんな刃牙見たことない…範馬刃牙vs烈海王

 主人公・範馬刃牙と中国拳法の使い手・烈海王の試合も、それまでの戦いとは別物である。烈海王はトーナメントでもキーマン的な存在であり、あの克巳をワンパンチで倒してしまうほど、底知れない強さの持ち主だった。

 勝負のきっかけとなったのは、烈海王が本気を出したことだ。これまでの試合では見せなかった足技も駆使し、刃牙を追い詰めていく。しかしそんな中、刃牙が“覚醒”したのをきっかけに形勢が逆転する。

 刃牙は普段の彼とはかけ離れた凶悪な笑顔を浮かべ、烈海王を殺す気で向かっていく……。烈海王の首の骨を外し、反撃してきた相手に対し容赦なく強烈な回し蹴りを放つ。まるで本能剥き出しの姿に、勇次郎も“範馬の血が呼び起こされた”と喜んでいた。

 こうして刃牙は逆転勝利をおさめたが、試合が終わってからも昂る気持ちをおさえられていなかった。これほどまでに凶暴な刃牙を見たのは初めてである。そういう意味でもこの試合はかなり貴重だ。ハイレベルな技の攻防に加えて、刃牙が“範馬勇次郎の息子”であることがあらためてしめされた試合でもある。

 

 『グラップラー刃牙』には数多くの手に汗握る試合が存在するが、大番狂わせや達人同士の戦いなど、先が読めない展開の面白さは格別である。あなたにとっての『グラップラー刃牙』「最大トーナメント編」のベストバウトには、どんなものがあるだろうか。

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