【実写化作品「圧巻の美少女再現」4】安達祐実が完璧再現した「天才美少女」、原作ファンも絶賛した「キャラ憑依」ぶりの画像
安達祐実(写真/ふたまん+)

 漫画の実写化作品がヒットするか否かは、ストーリーや設定の忠実度はもちろんのこと、キャラクターに命を吹き込む演者がどれだけ原作のイメージと重なり合うかにもかかっている。

 特に少女漫画は、登場人物のちょっとした表情や佇まい、話し方といった繊細なニュアンスが物語の魅力を大きく左右するため、完璧なイメージの再現が難しいジャンルの一つだ。さらには原作ファンの思い入れも強い分、実写化へのハードルも自然と高くなる。

 それでも、1990年代から2000年代前半にかけては高いハードルを乗り越え、原作のイメージを損なうことなくドラマならではの世界観を確立し、原作ファンのみならず幅広い視聴者の心を掴んだ女優たちがいた。

 そこで今回は、懐かしの少女漫画実写化ドラマで少女漫画の世界観を現実に引き寄せ、輝きを放っていた女優たちを複数回に渡って振り返っていく。

(第4回/全5回)

■野際陽子とのコンビも最高だった安達祐実の『ガラスの仮面』

 1975年から『花とゆめ』で連載が始まり、作者・美内すずえさんにとって最大のヒット作となった『ガラスの仮面』。天才的な演技の才能を秘めた少女・北島マヤが、伝説の大女優・月影千草に見出され、演劇の世界で数々の挫折と試練を経験しながら成長していく姿を描いた物語だ。

 長い年月を経た現在も多くの読者の記憶に刻まれ語り継がれている本作は、1997年と1998年に連続ドラマとして2期にわたりテレビ朝日系で放送され、さらに1999年には完結編が制作されるという三部構成で実写ドラマ化された。

 原作はいまなお完結を迎えていないが、ドラマ版ではマヤと速水真澄の想いが通じ合い、改めて「紅天女」を目指して歩み出すという、ひとつの区切りを迎える形で物語が締めくくられている。

 そんな実写版で主人公・北島マヤを演じたのが当時16歳だった安達祐実さんである。類まれなる演技の才能を武器に、様々な問題を乗り越えて役者として成長していくマヤの姿は、幼少期から芸能界に身を置いてきた安達さん自身とも重なって見えた。

 安達さんはわずか2歳で雑誌モデルとしてデビューし、その後子役として芸能活動を開始。いくつかの作品で爪痕を残すと、瞬間最高視聴率32%という驚異の数字を叩き出した平成のメガヒットドラマ『家なき子』で主人公・相沢すずを演じ、一躍世間の注目を集める存在となった。

 そうしたキャリアを経て挑んだ『ガラスの仮面』は、演技にのめり込んでいくマヤが現実世界に現れたかのような高い再現度で視聴者に強い印象を残し、原作ファンからも高い支持を集めた。

 舞台で輝く役者の役を演じる、いわば演技の中での演技をすることは決して容易ではない。しかも求められるのは、普通の女優ではなく“天才女優”なのだから安達さんのプレッシャーは計り知れなかったはずだ。

 それでも安達さんは、目を見開いて飛び跳ねたり涙を流したり、時には完璧な無表情を貫いたりと多彩な表現でマヤを体現してみせた。とりわけ、舞台上でスイッチが入った瞬間の繊細な表情管理と体の使い方は、まさに演技に目覚めたマヤそのものだった。

 役への向き合い方も徹底しており、第二期では「ふたりの王女」を演じるにあたって舞台となるエストニアの寒さを知るため、原作同様に本当に冷凍庫に入って演技をしたという。体を張って役柄と作品の世界観を落とし込むその姿勢は、16歳とは思えないプロ根性だ。

 そして、周囲を固める女優たちの高い再現度も本作の完成度を支えていた要因の一つだ。ライバル・姫川亜弓を演じた松本莉緒さんは気品と根性を併せ持つもう一人の天才女優を力強く体現し、物語に緊張感を与えた。

 また、月影千草を演じた野際陽子さんはベテランの圧倒的な存在感と原作さながらのビジュアル再現で、視聴者に衝撃をもたらしている。そんな実力派女優たちに囲まれながら、安達さんは自身の個性と際立つ演技力を余すところなく発揮したのだから脱帽だ。

 天性の演技力を持つ北島マヤという難役に真正面から挑んだ安達さん。その徹底した役作りと圧倒的な表現力は、原作漫画の熱量を見事に現実世界へと落とし込んだ。実写化が難しいとされる作品でありながら多くのファンから愛されるドラマとなったのは、彼女の存在があったからこそだろう。

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