【ゴールデンカムイ「実写化の圧巻再現」2】『ゴールデンカムイ』玉木宏が完璧再現した「不気味ビジュアル」 醸し出す「異様な恐怖」で観客を圧倒…の画像
玉木宏 (写真/ふたまん+編集部)

 2014年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載が開始された野田サトルさんの漫画『ゴールデンカムイ』。その圧倒的な人気からアニメ、実写映画、ドラマと破竹の勢いでメディア展開を続けている。

 3月13日からは、映画第2弾となる『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』が公開予定であり、ファンの期待も最高潮に高まっている状況だ。

 本作は明治末期の北海道を舞台に、アイヌが隠した莫大な金塊を巡ってさまざまな人物が手を組み、騙し、奪い合いを繰り広げていくサバイバルミステリーである。

 劇中には、敵味方問わず強烈な個性を放つ魅力的なキャラクターが多数登場するが、実写版ではこれら一癖も二癖もある面々を、実力派俳優たちが見事に体現してみせた。

 そこで今回は、実写版『ゴールデンカムイ』に出演した俳優たちを数回にわたってピックアップし、その驚異的な再現力の高さを振り返っていく。

※本記事には作品の内容を含みます

(第2回/全5回)

■怪演で体現した悪のカリスマ…鶴見篤四郎役:玉木宏

 本作では複数の勢力が入り乱れ、アイヌの金塊を奪い合うが、主人公・杉元佐一らの前に最大の障壁として立ちはだかるのが、大日本帝国陸軍最強と謳われる第七師団である。

 なかでも、第七師団をまとめ上げる中尉・鶴見篤四郎は、行く先々で杉元らと対峙し、交戦、騙し合い、奪い合いを繰り広げる最大の宿敵だ。

 個性派揃いの本作において、鶴見の存在感は群を抜いている。“個性的”という言葉では到底表現しきれない強烈なキャラクターとして、原作ファンの間でも絶大な人気を誇る人物だ。

 鶴見は普段は冷静沈着で紳士的に振る舞うが、一度激情に駆られると常軌を逸した残忍な行為に手を染めることも厭わない。杉元とは異なる種類の危険な二面性を持つ男だ。かつての戦いで負った頭部の傷を額当てで保護しているが、興奮すると傷口から脳漿が漏れ出す、通称「変な汁」で周囲を戦慄させる場面が象徴的だろう。

 そんなアクの強いキャラクターを実写版で演じたのが、玉木宏さんである。数々のドラマ、映画に出演してきたベテラン俳優の玉木さんだが、本作ではこの難役をまさに“憑依”のレベルで降臨させ、観る者を圧倒させた。

 まず、特筆すべきはそのビジュアルだ。白いホーロー製のプロテクターで額を覆い、目元から頬骨にかけての火傷を特殊メイクによってリアルに再現。口髭を蓄えたその姿は原作から抜け出てきたかのようであり、玉木さんの長身ですらりとしたプロポーション、そして射貫くような眼光の鋭さも、キャラクターの圧倒的な存在感を際立たせていた。

 それに加えて、奇抜極まりない鶴見の内面も、玉木さんは持ち前の演技力で見事に表現。鋭い眼光で獲物を見据える冷徹さの一方で、時に無邪気かつ陽気に振る舞うなど、光と闇が交差する鶴見の複雑な人間性を絶妙に演じた。

 もちろん、原作さながらの奇行の数々も変わることなく登場。突如、上官の指に噛みつき食いちぎる、尋問していた杉元の頬を串で貫くなど、一瞬で殺意を爆発させるその演技は圧巻の一言。特に、前述した「変な汁」が流れ出るシーンは、実写化によってそのグロテスクさが一層増し、観る者に言い知れぬ恐怖を与えた。

 端正な顔立ちから放たれる独特の暴力性、そして危ういながらも部下を従えるカリスマ性……そんな恐ろしくも、どこか惹きつけられてしまう邪悪な魅力に満ちた鶴見像は、玉木さんの「怪演」なくしては成立しなかっただろう。

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