2月15日より、長田光平さん主演の『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の放送が開始された。物語の主人公は、銀河連邦警察に所属する弩城怜慈(どき れいじ)。厳しい訓練を積んだ彼は、宇宙で唯一「宇宙刑事ギャバン」を名乗ることを許された存在であり、特殊なエモルギー犯罪捜査に身を投じていく。
予告編に響く「蒸着!」という咆哮に、往年のファンはその懐かしさに胸が熱くなったのではないだろうか。
そう、本作のルーツは1982年3月から放送され、後の「メタルヒーローシリーズ」の礎を築いた伝説の特撮テレビドラマ『宇宙刑事ギャバン』だ。放送当時、子どもたちは「宇宙刑事」や「コンバットスーツ」といった未来的で斬新なフレーズに心を奪われ、そのカッコよさに魅了された。
そんな昭和時代を彩った初代『宇宙刑事ギャバン』には、強烈なインパクトを放つ敵組織「宇宙犯罪組織マクー」の個性的な幹部たちが存在した。今回は、彼らに焦点を当てて紹介していこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■ギャバンと互角の格闘術を持つのに…酒と女に溺れる道楽息子「サン・ドルバ」
宇宙犯罪組織マクーのボスは「ドン・ホラー」である。兜と牙が特徴的な怪物の姿をしており、口の部分が人間の顔になっているという異形の存在だ。そんな彼には「サン・ドルバ」という息子がいるが、これがまたユニークなキャラクターなのである。
初登場は、第30話「ドンホラーの息子が 魔空城に帰って来た」。サン・ドルバは冒頭でギャバンと対峙。近接戦で互角の格闘を披露し、その実力の高さを見せつけた。その後、彼はマクーの本拠地である魔空城に帰還する。
しかし、彼が魔空城で最初におこなったことは、あろうことか自身の「歓迎会」であった。特撮ヒーロー作品で敵組織が「まさかの宴会?」と、この展開には驚かされた。とはいえ、遠路はるばる帰還したボスの御曹司を組織全体で歓迎するのは、ある意味当然のことかもしれない。
侍女たちが剣を手にダンスを舞う中、別の女性にはお酌をさせてご満悦のサン・ドルバ。しかし、その様子を快く思わないのが、地球侵攻の指揮官「ハンターキラー」である。元宇宙刑事であった彼はマクーに寝返ったものの、ギャバンとの戦いでは劣勢に立たされていた。
サン・ドルバは気前よく酒を勧めるが、堅物なハンターキラーはこれを「結構です」と断る。それでもなお「一杯やれ!」と強要するサン・ドルバと、意地でも飲もうとしないハンターキラー……この険悪な空気は、周りの部下からすると勘弁してほしいものだろう。
このようにサン・ドルバは、とにかく酒と女性を好む放蕩息子である。第35話「マクーの若獅子 サンドルバの反抗」では、部下が別室で格闘技の訓練に励む一方、本人はベッドに3人の女性をはべらせ、酒を飲みながら横になってくつろぐ始末だった。
父、ドン・ホラーに呼ばれた際も、例によって女性陣にダンスをさせ、悠々と広間にやってくるサン・ドルバ。その光景を目の当たりにしたドン・ホラーは、特訓に明け暮れるギャバンとは対照的に酒と女に溺れる息子に呆れ、「ギャバンを倒すまで魔空城に帰ってくるな」と言い放つ。
これは息子に奮起を促すための叱咤激励でもあったが、彼の素行はどう見ても道楽息子そのもの。結局、サン・ドルバはギャバンに勝利することなく最終話を迎えてしまった。
物語後半から登場した指揮官でありながら、酒と女性、宴会を好むという設定は、特撮ヒーロー作品の中でも異彩を放つ、強烈なインパクトを誇る敵キャラクターだった。
■冷酷非道な宇宙魔女だが…息子を甘やかしすぎる「魔女キバ」
サン・ドルバの母親は、妖術を操る「魔女キバ」だ。サン・ドルバは「若獅子」と称されていたが、キバの姿は「老婆」という印象が強い。
第35話「マクーの若獅子 サンドルバの反抗」で、夫のドン・ホラーとサン・ドルバが口論になった際には、息子の味方について夫に反抗的な態度をとるなど、過保護な一面を見せた。
地球人に対しては冷酷非道で容赦なく妖術を使うが、その一方で冷静な分析力も持ち合わせているキバ。ギャバンの必殺技である「ギャバンダイナミック」を脅威に思い、サン・ドルバに単独では勝てないと忠告するなど、参謀的な役割もこなす。
第35話では、ギャバンの協力者であるマリーンと星野月子を美しい花で欺いて拉致。彼女たちを人質にしてギャバンを精神的に追い詰めるという卑劣な作戦を実行する。捕らえられながらもギャバンの勝利を信じる2人に対し、髪をなでながら奇声を発するシーンは、キバを演じた三谷昇さんの怪演も相まって鳥肌ものの恐ろしさだった。
最終的にキバはドン・ホラーとギャバンを戦わせ、マクーの支配権を我が物にしようと画策するが、その野望は潰える。そして最後はギャバンにより、息子とともに倒されるという結末を迎えた。
劇中では「どうすればいい?」と、頻繁に母・キバに助言を求めていたサン・ドルバ。それに応じるキバの態度からは、息子への溺愛ぶりと甘さが目立った。もし彼女が息子を突き放してさっさと独り立ちさせていれば、彼はより手強い敵としてギャバンの前に立ちはだかったかもしれない。


