同じ人とは思えない!『HK/変態仮面』に『天皇の料理番』、『俺物語!!』に『シティーハンター』まで…カメレオン俳優「鈴木亮平の七変化」を追ってみたの画像
鈴木亮平  写真/ふたまん+編集部

 現在放送中のTBS系日曜劇場『リブート』においても、揺るぎない存在感を放っている俳優・鈴木亮平さん。顔を変え、別人になりすまして妻を殺した真犯人を追う主人公・早瀬陸と、悪徳刑事の儀堂歩の二役を演じ分けている。だが、その姿さえ彼がこれまでに体現してきた「無数の顔」のひとつに過ぎない。

 ある時は、彫刻のように磨き抜かれた肉体を誇るヒーロー。ある時は、病魔に侵され骨が浮き出るほどに衰弱した青年。そしてまたある時は、体重100kgに迫る、威厳をまとった豪傑。役柄が変わるたび、鈴木さんは文字通り「別の人間」として画面に現れる。

 今回は「カメレオン俳優」と称される鈴木さんの変幻自在な魅力を、肉体と役柄の関係性という視点から掘り下げていきたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■1年かけて作り上げた「正義の変態」

 鈴木亮平さんの名を一躍世に知らしめた作品といえば、2013年公開の映画『HK/変態仮面』だろう。原作は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)の黄金期に異彩を放ったあんど慶周さんの漫画『究極!!変態仮面』だ。

 顔面に女性の下着を被り、ブーメランパンツに網タイツという、ほぼ何も纏わない姿で戦う異形のヒーロー・変態仮面。この常識外れのヒーロー像に圧倒的な説得力を与えたのは、間違いなく鈴木さんの肉体だった。

 彼はこの役のため、約1年をかけた徹底的な肉体改造に挑んでいる。単にジムへ通うのではない。まず体重を15kg増やして筋肉量を最大化し、そこから脂肪のみを極限まで削ぎ落とすという、プロのボディビルダーさながらの過酷な工程を経ている。

 そうしてスクリーンに映し出されたその姿は、まさに鋼の肉体そのものだった。ヒロイン・姫野愛子の言葉を借りるなら、まさに“変態なのに格好いい”。原作への深いリスペクトが、一筋一筋の筋肉の隆起に宿っているようであった。

 一切の妥協を許さないストイックな役作りの原点が、ここに確立されたのではないだろうか。

■「理想の夫」と「ギャングのボス」という強烈なギャップ

 翌2014年、鈴木さんはさらなる驚きを世間に与える。それが、NHK連続テレビ小説花子とアン』への出演だ。

 『赤毛のアン』の日本語翻訳者である村岡花子さんの半生を描いた本作で、彼は吉高由里子さん演じるヒロインの夫・村岡英治を演じた。前作『HK/変態仮面』での筋骨隆々なイメージを完全に封印し、そこには理知的で誠実、常に優しい笑顔を浮かべて花子を支える「理想の夫」がいた。

 だが、同じ2014年、鈴木さんはスクリーンでまったく異なる顔を見せていた。それが映画『TOKYO TRIBE』である。

 井上三太さんの漫画を原作に、近未来の「トーキョー」を舞台に繰り広げられるストリート・ギャングの抗争を描いた本作で、鈴木さんは10kg増量し、「ブクロWU-RONZ」のヘッド・メラを演じたのだ。

 金髪に染め上げた頭、上半身裸の肉体に黒の毛皮コートを羽織った姿は、登場した瞬間から凄まじい威圧感を放ち、クライマックスの戦闘では日本刀と二丁拳銃を手に暴れ回る。

 その姿は、朝ドラで見せていた「優しい村岡さん」とは、もはや同一人物とは思えないほど対極的だった。この振り幅こそが、鈴木さんが「カメレオン俳優」と称される最大の理由なのである。

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