■執念と技術を兼ね備えた「北斗の三男」ジャギの生存本能
北斗四兄弟の三男・ジャギは、ケンシロウの名を使って悪行の限りを尽くした非道な悪役としての印象が強い。兄弟の中では劣等生と見なされがちだが、その戦いぶりを振り返ると、彼がいかに優れた生存術を持っていたかが分かる。
ジャギの特徴は、勝利のためならショットガンや含み針といった武器の使用も厭わない、手段を選ばぬ戦闘スタイルにある。一見すると卑劣でカッコ悪く見える戦い方だが、荒廃した世界を生き抜くためには必要な選択ともいえるだろう。
さらに驚くべきは、ケンシロウに秘孔を突かれながらも自ら別の秘孔を突き、その効果を解除したほどの知識と技術だ。実際、ケンシロウとの戦いで北斗神拳によって銃口を自身に向けさせられた際も、彼は即座に自分の腕の秘孔をついて危機を脱している。
その上、ジャギは南斗聖拳まで披露し、ケンシロウを驚かせた。兄弟の中では実力不足とされながら、北斗神拳と南斗聖拳の両方に精通していた点は、北斗神拳の伝承者候補だっただけのことはある。
また、ケンシロウとの決戦では実力差があるにもかかわらず、最後まで粘り強く食い下がった。兄であるラオウやトキからは見放されていたものの、独学や我流を交えてそこまでの実力を維持していた執念は凄まじいものがあった。
もしジャギが歪んだ復讐心に囚われず、正しく拳を磨いていれば、北斗の歴史に名を残す技巧派の拳士になっていたかもしれない。
今回紹介した3人は、それぞれ異なるかたちでケンシロウやラオウといった作中屈指の絶対的強者を脅かした存在である。いずれも敗北という結末を迎えたが、彼らが見せた一瞬の輝きや、強者をひるませた技術は、読者に強烈な印象を与えた。
『北斗の拳』の魅力は、こうした“もしも”の物語を想像させる個性豊かなキャラクターたちが存在している点にもあるのだろう。


